韓経:ファウンドリーの「恐ろしい追撃者」サムスン…TSMCの常連顧客を相次ぎ確保

  • 2020年9月14日

サムスン電子は昨年4月、2030年までにファウンドリーを含めたシステム半導体分野で1位になるという目標を出した。「ビジョン2030」を宣言するサムスン電子の李在鎔副会長。[韓経DB]

サムスン電子が米クアルコムの次世代スマートフォン用アプリケーションプロセッサ(AP)チップを全量生産する。APチップは「スマートフォンの頭脳」と呼ばれる核心部品だ。

13日の業界によると、サムスン電子ファウンドリー事業部はクアルコムのAPチップで「スナップドラゴン875」(仮称)を5ナノメートル(1ナノメートル=10億分の1メートル)プロセスで受託生産する契約を取り出した。スナップドラゴン875はプレミアムスマートフォン市場を狙ったクアルコムの5G用APチップで12月に発売される予定だ。「ギャラクシーS21」(仮称)をはじめ、中国のシャオミやOPPOなどの高級モデルに搭載される見通しだ。

クアルコムの主力製品をサムスン電子が全量受注したのは今回が初めてだ。契約規模は1兆ウォンに迫るという。サムスン電子は最近京畿道華城(キョンギド・ファソン)のファウンドリーラインで極端紫外線(EUV)露光装備を使ってスナップドラゴン875を量産し始めた。

業界ではスナップドラゴン875を世界1位のファウンドリー(半導体受託生産)企業である台湾TSMCが引き受けて生産するだろうという観測が優勢だった。サムスン電子が予想をひっくり返したのは「技術力」と「営業戦略」が功を奏したためだ。業界関係者は「TSMCと対等なナノプロセスで高い効率を出せる技術を持つサムスン電子が世界市場でまともに評価され始めた。サムスン電子の価格競争力もTSMCを上回った」と話した。

◇サムスン、クアルコム次世代モデルの「頭脳」を受注

世界のファウンドリー市場の構図が揺らいでいる。サムスン電子がグローバル情報技術(IT)企業等の看板製品を相次いで受注してTSMC独走体制にブレーキがかかっているという評価が出ている。

サムスン電子がメモリー半導体で蓄積した技術力と大々的な設備・研究開発投資を前面に出してTSMCとの格差を縮めている。

◇クアルコムに続きインテルとも受注交渉

サムスン電子が米クアルコムの次世代主力第5世代(5G)移動通信チップである「スナップドラゴン875」(仮称)生産を担当することになったのは、TSMC劣らない技術力を備えたためだ。クアルコムとしてはプレミアム主力製品生産を委託できるほどサムスンの技術力に対する信頼が厚くなったという意味だ。ファウンドリーはオーダーメード型スーツをあつらえるように顧客の注文を受けて半導体を生産する事業だ。顧客の設計を反映して既存製品よりサイズがさらに小さく、電力消費が少ないながらも演算速度が速い製品を生産することが競争力の核心だ。

サムスン電子は5ナノメートルのプロセスで製品を生産している。5ナノメートルは回路線幅を意味するもので、この幅が狭いほど製品をさらに小さくすることができる。クレパスよりシャープペンシルがさらに微細な表現ができるのと似た道理だ。現在この工程で半導体を生産できる企業はサムスン電子とTSMCだけだ。

ファウンドリー後発走者であるサムスンは「似た品質、さらに安い価格」を掲げてTSMCが掌握してきた業界の秩序を変えている。最近IBM、エヌビディア、クアルコムなどが主力製品の生産をサムスン電子に任せ始めたのだ。サムスン電子ファウンドリー事業部は7ナノメートル以下のナノプロセス進入に困難を経験しているインテルともグラフィックチップ受託生産を交渉中であることがわかった。

◇ファウンドリー市場さらに拡大

世界のファウンドリー市場はさらに大きくなる見通しだ。市場調査会社トレンドフォースによると、昨年の世界ファウンドリー市場規模は売り上げ基準で655億ドルだ。新型コロナウイルスが世界的に流行した今年も10大ファウンドリー企業の7-9月期売り上げは572億ドルを記録した。10-12月期を合わせると昨年の市場規模を上回ることが確実だ。

ファウンドリー市場が急成長するのは、5Gや人工知能(AI)用半導体チップ需要が増加しているためだ。半導体設計を専門にするクアルコム、エヌビディア、AMDなどファブレスに注文が集まり、これを受託生産するファウンドリー市場規模もともに大きくなっている。

昨年「2030年システム半導体世界1位」を宣言したサムスン電子では市場の変化がうれしくないはずがない。ファウンドリーが2030ビジョン達成の尖兵の役割をする可能性がさらに大きくなったと分析される。サムスン電子ファウンドリー事業部の昨年売り上げは127億6700万ドルだ。市場では今年の売り上げは昨年より20%以上増えた20兆ウォンに迫り、四半期基準の市場シェアも10-12月期または来年1-3月期には初めて20%を超えるだろうとの予想が出ている。NH投資証券のト・ヒョンウ研究員は「来年サムスンのファウンドリー売り上げは今年より50%増加するだろう」と予想する。

◇追われるTSMC、サムスンを牽制

グローバル競争環境もサムスン電子ファウンドリー事業には不利でない。ロイターは米国政府が中国1位で世界5位(7-9月期シェア見通し4.5%)のファウンドリー企業であるSMICを規制リストに上げて制裁する案を検討中だと最近報道した。現実化すればSMICの顧客の一部がサムスン電子にシフトする可能性もある。

独走するTSMCはサムスン牽制に出た。最高経営陣がメディアインタビューなどを通じてサムスン電子を牽制するような発言を続けている。TSMCの劉徳音会長が今年8000人の採用計画を公開し今後2~3年後に可能とみられる2ナノメートルプロセス開発のロードマップを発表したのもサムスンの追撃と無関係ではないとの見方が出る。

最近では台湾メディアまでサムスン電子の技術力にあら探しをしている。クアルコムとサムスン電子の交渉時期と推定される7月ごろに台湾の有力IT専門紙のデジタイムズが「サムスン電子が4ナノメートル、5ナノメートルプロセスの低い歩留まり(全生産品のうち良品割合)のため困難を経験している」と報道したのが代表的な事例だ。半導体業界関係者は「サムスン電子が追い上げてくるほどTSMCの牽制がさらに強まるだろう。技術力と粘り強い投資で顧客を広げ続けるしかない」と話した。