韓経:中国「ペトロ元」の野心…基軸通貨に進む最初の関門「原油」を突き抜ける

  • 2020年7月20日

英BPが今月初め、中国に原油300万バレルを人民元建てで売った。7大石油メジャーのうち1社がドルではなく人民元で原油を取引した初めての事例だ。原油市場で「石油ドル(ペトロダラー)体制」に亀裂が生じるのではないかとの分析が出ている。

19日のロイター通信などによるとBPは上海先物取引所(INE)で人民元建てによりイラク産原油300万バレルを山東省にあるINE貯蔵施設に今月初めに引き渡した。世界5大エネルギー取引会社のひとつであるマーキュリアも来月から2カ月間にわたりINEで原油300万バレルを取引し、これを人民元で決済する予定だ。

中国は新型コロナウイルスの流行により各国で原油需要が大きく落ち込んだのを機会とみて世界最大の購買力を掲げて石油メジャーに人民元取引圧力をかけているというのが専門家らの診断だ。いわゆる「ペトロ元」体制を構築し人民元の国際化につなげるという戦略だ。中国は最近香港国家安全法施行と新型コロナウイルス問題責任論などをめぐり米国との対立が激しくなり、人民元の国際化を急いでいる。

◇コロナを機会に…原材料市場「ペトロダラー」に挑戦状

英BPがドルでなく人民元で原油取引をしたのは国際原油市場で大きな異変と評価される。これまで世界の原油取引はドル独走体制だった。ニューヨーク商品取引所(NYMEX)をはじめと、ロンドンICE先物取引所、シンガポール商品取引所(SMX)、ドバイ商品取引所(DME)など各国の先物市場はすべて「バレル当たりドル」を基準として価格を策定する。代金もドルで決済する。非ドル取引をしてきた国はベネズエラやイランなど米国の金融制裁を受けておりドルを使えないいくつかの国だけだった。

◇「コロナ時代」原油市場で中国影響の拡大

中国は以前から原油の人民元取引を推進してきたが順調ではなかった。1993年に原油先物市場を開設したが、規模が小さくて変動性が大きいため1年ほどで取引を中断した。2018年に上海先物取引所(INE)を開設したが世界の大企業は原油の人民元取引に合流しなかった。中国の外国為替市場介入の可能性などをリスクとみたためだ。

しかし新型コロナウイルス流行後に世界の原油市場の中国依存度が大幅に高まり事情ががらりと変わった。各国が需要減少の影響で原油輸入を減らしているのに対し、いち早く経済再開に出た中国は原油輸入を大幅に増やし、産油国の命綱の役割をしている。中国関税庁によると、先月の中国の原油輸入量は1日平均1290万バレルで過去最大を記録した。輸入量は前年同期比約34%増えた。これに対し世界原油輸入2位の米国はまだ需要鈍化傾向から抜け出せずにいる。3位のインドは一部地域が再封鎖に入った。先月のインドの原油輸入量は前年同期比約55.3%落ち込んだ。

中国企業と大口投資家が最近の原油価格急落を機会として原油買い占めに出たのもグローバル企業が人民元取引に飛び込んだ背景だ。ブルームバーグによると、先月の人民元建て1日平均原油取引量は昨年に比べ2倍以上伸びた。これに伴い、先月には中国INE原油先物価格がウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)より1バレル当たり3~4ドルほど高くなった。

◇中国「ドル依存は危険…人民元育てなければ」

中国が人民元原油取引に力を入れている理由は、原油市場の決済通貨が基軸通貨の最初の関門であるためだ。各企業が人民元で石油を取引すれば各国にわたり中長期的に一定の人民元需要を創出できる。中国内部では最近米国との対立を意識して人民元の国際化をもっと急ぐべきという声が大きくなっている。米国がドルを利用して金融市場で中国を圧迫できるだけにドル依存度を減らさなければならないということだ。

こうした動きは14日にトランプ米大統領が香港に対する特別地位を剥奪し、香港の自由を制限する中国当局者と取引する銀行を制裁できるようにする香港自治法に署名してさらに強まった。中国は香港に域外市場を開設し中国製品を輸出する際に香港で人民元決済を誘導してきた。しかし米国の措置により外国企業が大挙香港を離れる場合、香港の人民元国際化前進基地機能が弱まる見通しだ。

中国はサウジアラビアなど中東の産油国にも原油の人民元取引を圧迫している。サウジ国営石油会社のアラムコが輸出する原油のうち半分ほどがアジアに輸出される。このうち相当部分が中国に向かう。フィナンシャルタイムズは「中国は西側より約2カ月早く経済再開に入り、低価格を利用して原油を買い入れている。中東の産油国が原油需要を中国に大きく依存しているため中国の顔色をうかがわざるをえない」と分析した。