韓経:インド・中東まで席巻した韓国のゲーム産業…輸出と雇用を拡大する大黒柱産業になった

  • 2020年6月24日

NCソフトは人材誘致に向け大学キャンパスの代わりにカフェを借りて採用説明会を開いている。昨年ソウルの聖水駅と新ノンヒョン駅近くのカフェで開かれた説明会には2日間で数百人が訪れた。[写真 NCソフト]

韓国のゲーム産業が雇用創出の側面で大黒柱の役割をきっちりと果たしている。文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後に韓国の主要ゲーム会社の従業員は40%近く増えた。同じ期間に雇用規模全体では足踏みだったのとは対照的だ。射倖性や過度な没入の尺度としてゲーム産業に否定的な一部の見方にもかかわらず、人気ゲームの知的財産権(IP)を育てて海外市場を開拓して成し遂げた成果だ。

韓国経済新聞が23日に上場ゲーム企業36社を分析した結果、これら企業の1-3月期基準の従業員数は1万7258人で3年前の1万2399人より39.1%増えた。この日時価総額20兆ウォンを初めて超えたNCソフトをはじめ、主要ゲーム企業が急成長して雇用を創出した結果だ。海外に上場されたり上場を控えたゲーム会社まで合わせるとゲーム業界の新規雇用創出規模はさらに大きくなる。ゲーム『バトルグラウンド』でグローバル市場での興行に成功したクラフトンの従業員数はこの期間に768人から1598人と2倍以上に増加した。

韓国政府は昨年雇用予算として21兆2000億ウォンを編成するなど毎年数十兆ウォンを投じて雇用創出に出た。だが今年1-3月期基準で韓国の全業種の雇用は3年前の2017年に比べ2.5%増加するのにとどまった。良質の雇用供給源だった製造業の雇用は同じ期間に3.0%減った。

韓国のゲーム業界は満16歳未満の青少年の深夜ゲーム接続を遮断する「シャットダウン制」のような各種規制に苦しめられている。視線を海外に転じて輸出先を多角化し、人気ゲームのIPをモバイル分野に拡大する戦略が功を奏した。徹底した成果褒賞制を導入して働きやすい水平的組織文化を作り、人材をかき集めたのも成果を出した背景に選ばれる。キム・ヒョクス韓国コンテンツ振興院ゲーム本部長は「ゲーム産業が大きくなり青年雇用が増えて良い人材が集まった。これはゲーム会社の業績改善につながる好循環構造が形成された」と説明した。

◇上場ゲーム企業36社、3年間で従業員39%増えた秘訣

『黒い砂漠』というゲームの知的財産権(IP)ひとつで昨年5359億ウォンの売り上げを記録したパールアビスは京畿道果川(キョンギド・クァチョン)に新社屋を作っている。従業員が大きく増えオフィス空間が足りないためだ。PCゲーム『黒い砂漠』の成功により2016年に120人程度だった従業員数は2018年には404人と3倍以上に増えた。2018年には『黒い砂漠』のモバイルバージョンが大ヒットした。従業員はさらに2倍以上増えて今年1-3月期には832人に増加した。

◇好実績が雇用牽引

雇用の大黒柱に成長したゲーム産業の雇用創出の秘訣は簡単だ。パールアビスのように売り上げが増えて企業規模が大きくなり働く人が必要になったためだ。

韓国のゲーム産業は各種規制などさまざまな障害にも成長してきた。韓国経済新聞が韓国で上場したゲーム会社36社の1-3月期業績を分析した結果、売り上げは2兆4988億ウォンで1年前より21.6%増えた。この期間に営業利益は4898億ウォンで61.9%増えた。ただ昨年11月にリリースされ韓国のモバイルゲーム売り上げ1位を達成した『リネージュ2M』を開発したNCソフトの業績を除くと増加幅は大きく縮小する。売り上げ増加率は4.7%、営業利益増加率は6.9%に減る。

だがこの数値も韓国の全上場企業と比較すると高い水準だ。景気低迷で1-3月期に有価証券市場上場企業全体の営業利益は1年前より31.2%減少した。KOSDAQ上場企業の営業利益も22.9%減った。それだけゲーム産業の成長が目立つという話だ。韓国コンテンツ振興院によると韓国のゲーム産業は2016年の10兆8945億ウォンから昨年は14兆7000億ウォンと3年間に34.9%成長した。

韓国ゲーム産業成長の最大の要因は輸出拡大だ。韓国コンテンツ振興院は昨年上半期のゲーム輸出額を33億3032万ドルと推定した。韓国のコンテンツ産業輸出の69%を占めた。K-POPなど音楽産業輸出額2億6070万ドルの12倍が超える。韓国最大手のネクソンと2位のネットマーブルの海外売り上げ比率は50%を上回る。ゲーム『バトルグラウンド』を開発したクラフトンの昨年の海外売り上げ比率は90%を超えた。

◇中国依存脱却し「輸出新大陸」開拓

韓国のゲーム会社は世界最大の市場である中国への進出が閉ざされると輸出先多角化に積極的に取り組んだ。中国は韓国の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を口実に2016年から韓国製ゲームの流通を禁止している。ネットマーブルは北米と欧州市場を攻略した。3月にリリースした『七つの大罪~光と闇の交戦(グランドクロス)~』はアップルのアプリストア売り上げ基準でフランスとドイツで1位になった。『バトルグラウンド』のモバイルバージョンはこれまで韓国のゲームがまともに進出できなかった中東とインドで人気だ。

人気IPを活用したのも韓国のゲーム産業成長要因だ。NCソフトの『リネージュ』はいまでも韓国のモバイルゲーム順位1位(リネージュ2M)と2位(リネージュM)を占めている。リネージュシリーズが22年間に上げた売り上げは8兆ウォンを超える。ゲーム業界関係者は「一部ではIPで簡単に金を稼ぐと批判するが、リネージュのような強力なIPを創造し維持することも評価されるべき。任天堂もやはり『スーパーマリオ』『ゼルダ』で数十年間にわたり収益を上げている」と説明した。

◇絶え間ない挑戦

新しいプラットフォームに対する挑戦も成果を出している。これまで競争力で遅れていたコンソール市場に進出するゲーム会社が増えた。パールアビスは昨年ゲーム『黒い砂漠』のコンソールバージョンを出した。今年3月にはコンソールゲーム機「Xbox One」と「プレイステーション4」のユーザー同士でゲームを楽しめるクロスプレー機能を追加した。この機能のおかげでユーザーが2倍以上増加した。クラフトンは昨年ゲーム『ミストオーバー』をプレイステーション4とニンテンドースイッチ用に出した。ゲーム会社はバーチャルリアリティ(VR)など新しく開かれるゲーム市場にも積極的に飛び込んでいる。スマイルゲートは独自開発したVRゲーム『フォーカスオンユー』『ローガン』を昨年出した。

◇徹底した成果共有

ゲーム企業のこうした挑戦と革新は人材誘致から始まったという分析も出ている。ゲーム会社の成果褒賞制度で優秀人材が集まっている。クラフトンは2018年の『バトルグラウンド』開発初期から参加した従業員20人に1人当たり最高50億ウォンの成果給を支給した。キム・ヒョクス韓国コンテンツ振興院ゲーム本部長は「中国への新規ゲーム輸出が閉ざされ、世界保健機関(WHO)のゲーム依存の疾病化などゲーム産業に対する障害は相変わらずだが韓国ゲーム産業の見通しは明るい」と話した。