韓経:「北挑発は『金与正履歴書作り』…レッドラインは越えないだろう」

  • 2020年6月18日

左から、パトリック・クローニン氏、スコット・スナイダー氏、フランク・オム氏、スミ・テリー氏、ブルース・クリングナー氏

米国の北朝鮮専門家は北朝鮮が南北共同連絡事務所の爆破など軍事的緊張を高めている背景の一つに「金与正(キム・ヨジョン)履歴書作り」を挙げた。金正恩(キム・ジョンウン)氏の妹・与正氏が前面に出たのは後継構図とも関連があるということだ。また専門家は北朝鮮が非武装地帯の軍隊配置など「低強度挑発」を継続するとみられるが、ドナルド・トランプ大統領の「レッドライン(限界線)」である核・大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験までは再開しないだろうと予想した。

韓国経済新聞は16日(現地時間)、ワシントンDCのシンクタンクで活動する5人の北朝鮮専門家に、電話と電子メールを通じてインタビューした。ハドソン研究所アジア太平洋安保主任のパトリック・クローニン氏は北朝鮮挑発に対して「自分の役割(非核化措置)は譲歩しないまま、より多くの経済的恩恵を望むため」としながら「与正氏のリーダーシップを輝かせるための履歴書作りという側面もあるようだ」と話した。

外交協会韓米政策局長のスコット・スナイダー氏も「北朝鮮の位階秩序で与正氏の地位上昇、正恩氏の後継者としての役割と関連しているとみられる」とした。あわせて「正恩氏が(父親の)金正日(キム・ジョンイル)氏の後継者に指名された2010年以後のように、軍事的葛藤の可能性がある」と予想した。北朝鮮は2010年韓国哨戒艦「天安(チョナン)」爆沈と延坪島(ヨンピョンド)砲撃挑発を起こした。

米国平和研究所上級研究員のフランク・オム氏は「北朝鮮は危機を助長して今後(米国との)交渉でより大きな利益を得ようとするだろう」としながら「このために低強度の挑発を継続するだろうが核・ICBM実験のような重大挑発は近い将来は行わないだろう」と話した。核実験やICBM発射は米国と国際社会の制裁、中国の人道的支援撤回のような報復をもたしかねないため、北朝鮮もこれを避けようとするという分析だ。

戦略国際問題研究所(CSIS)上級研究員のスミ・テリー氏も「北朝鮮が最も望んでいたのは制裁緩和だが、文在寅(ムン・ジェイン)政府でもそれが全くかなわず、コロナ事態まで重なりながら厳しい状況」としながら「北朝鮮にスケープ・ゴートが必要な時、韓国はいつも最も利用しやすい対象」だったと指摘した。あわせて「北朝鮮挑発はすでに開始段階で、当面は韓国政府を狙って繰り出すリストは多いだろう」としながら「だが、核実験のようなレッドラインは越えないだろう」とみている。

ヘリテージ財団上級研究員のブルース・クリングナー氏は「北朝鮮が米大統領選挙を控えて(悪名高い)『シカゴギャング』のように、トランプ大統領を脅威を与えている」とし「韓国のへつらいと米国の制裁緩和を引き出すために緊張を高潮させることに関心を持っている」とした。

専門家は北朝鮮の挑発がトランプ政府の北朝鮮政策を変えることはできないと見通した。テリー氏は「11月の大統領選を控えたトランプ大統領が対応できるオプションは多くない」とし「大統領選前に北朝鮮との新しいディール(取り引き)は難しい」とした。スナイダー氏は「米国人の生命と財産損失がない限り、トランプ政府の北朝鮮政策は北朝鮮の挑発にも格別な影響を受けない」と話した。

オム氏は「北朝鮮の感情爆発に過剰対応するよりは北朝鮮政権の金融(接近)費用を高めて、軍事的抑制力と準備態勢を強化しなければならない」と助言した。