韓経:コロナで悲喜交錯のアップル・サムスン…「卵」を分散させたサムスンが正しかった

  • 2020年5月1日

アップルは今夏からサプライチェーンマネジメント(SCM、供給網管理)の実験を始める。早ければ7月から新型iPhoneのモデルを事前に製造した後、在庫として積んでおいて販売するという戦略だ。在庫を可能な限り減らす既存の適時生産システム(JIT)とは正反対の方針だ。Nikkei Asian Reviewなどの外信はアップルが新型コロナウイルスの感染拡大によりサプライチェーンに穴が開いたことから戦略を修正したものと分析した。

これまでアップルの戦略は「SCMの教科書」のように考えられていた。市場調査会社ガートナーがアップルを2018年から「SCMマスター」としたほどだった。しかし、新型コロナによる世界的な製造業の危機が起き、緩慢に見えたサムスンの戦略が再評価されている。

アップルはこれまで製品の設計は米国が、生産は中国が担う二元戦略を用いてきた。主要供給業者220社中、約20%の41社を中国に置いている。中国の生産比率は90%に達している。アップルが競合他社よりも圧倒的に多くの利益を出すことができた理由でもある。

新型コロナの感染拡大が起こったことで状況が変わった。コストを削減するために中国のサプライチェーンに集中していたのが悪材料となった。中国のフォックスコン工場が稼働停止し、iPhoneの生産も中断した。工場は再稼働したが、今度は核心部品の調達が滞った。今年末に発売する新型iPhoneの生産も1カ月ほど遅れる見通しだ。アップルは、早急に生産基地をベトナムなど中国以外の国に移転する案を検討中だ。

サムスン電子は、アップルとは異なり徹底した地域分散戦略を取っている。世界74カ国に生産施設37カ所、販売拠点52カ所を置いている。サムスン電子の1次協力会社だけで2389カ所で、中国の生産比率は10~15%程度だ。

サムスン電子が2017年に導入した「SCM 1日決定システム」も力を発揮した。サムスンはビッグデータを基に、世界の原材料や部品の供給、製品の需要などを1時間単位で測定して決定するシステムを構築した。1日でSCMの意思決定をすることができ、市場の変化に即座に対応が可能という評価だ。

中国で工場が稼働停止すればSCMシステムが韓国、インド、ベトナム、ブラジルなど5カ所のスマートフォン工場のどこの生産量を増やすか、部品はどこで調達するかなどを決定する。スマートフォン用カメラモジュールなど核心部品も汎用化した。製品モデルごとに異なる部品を使えば、生産場所の変更は難しいというのがサムスン側の説明だ。

サムスン関係者は「費用がかかっても部品供給先と生産設備を分散させれば、新型コロナ事態のような災害などの危機的状況に対応することができる」とし「サムスン半導体工場が新型コロナ事態でもシャットダウン(一時的稼働停止)しなかったのは、このような理由のためだ」と説明した。