韓経:10日以上姿を見せない金正恩氏…今度こそ本当に重病?

  • 2020年4月22日

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の健康異常説が浮上してその真偽に関心が集まっている。金正恩氏の健康異常説は今回が初めてではない。2012年4月執権後、3~4週ほど公開活動に空白ができるたびに必ず「重病説」「脳死説」が出回った。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は公式に「北朝鮮に特異動向はない」と明らかにしたが、外交界内外では金正恩氏が最近、心血管系の手術または施術を受けたという予測のほうにひとまずウエイトを置く雰囲気だ。ただし、北朝鮮に対する情報への接近が制限的であるため、今回の健康異常説もハプニングで終わる可能性も排除できない。

◆10日以上姿を見せない金正恩氏

金正恩氏の健康異常説が本格的に提起されたのは、今月15日の金日成(キム・イルソン)主席108周年生誕記念日である「太陽節」に開かれた錦繻山(クムスサン)太陽宮殿参拝式に金正恩氏が姿を見せなくなってからだ。金正恩氏は執権以降、一年も欠かすことなく同行事に出席してきた。これに先立ち12日に開催された最高人民会議にも出席しなかった。金正恩氏の最後の公開活動が確認されたのは11日の労働党政治局会議だ。これを基準とすると、10日以上金正恩氏の公開活動が止まっていることになる。

金正恩氏は先月21日、戦術地対地ミサイル射撃訓練を参観した後、迫撃砲射撃訓練を指導した今月9日の時点でも、3週間ほど公開活動を行っておらず、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)を避けて地方に向かったのではないかとの見方が出ていた。

韓国国会外交統一委員会の尹相ヒョン(ユン・サンヒョン)委員長は21日、国会で記者会見を開いて「金正恩の身辺に異常説を提起するほどの兆候があるのは事実のようだ」とし「金委員長が心血管疾患手術を受けて危篤な状況にあるというのが北朝鮮に精通した人の話」と話した。

金正恩氏の健康異常説は、2014年に実際に間違っていなかったこともある。金正恩氏が2014年9月3日以降、長期間にわたって公開席上に現れないためさまざまな推測が提起された。その後40日余りが過ぎ、同年10月14日に杖をついて現場指導をする写真が北朝鮮官営メディアによって報じられた。数日後、韓国国家情報院は金正恩氏が足首にできた嚢腫(のうしゅ)を除去する手術を受けたと明らかにした。

◆金与正(キム・ヨジョン)氏が権力の前面に…権力継承に備え?

外交界の一部からは金正恩氏の妹である金与正労働党第1副部長が最近北朝鮮内権力の前面に再登場したことは、金正恩氏に何かあった場合に備えたいわゆる「白頭(ペクトゥ)血統」権力継承作業の一環という分析もある。北朝鮮は11日、労働党本部庁舎で政治局会議を開き、金与正氏を政治局候補委員に任命した。政治局は党優位国家である北朝鮮で各種政策や人事を決める最高権力組織だ。金与正氏は青瓦台に対して「低能だ」と批判するなど対南攻勢に直接乗り出していて、ドナルド・トランプ米国大統領の親書内容を公開するなど政治的位置づけを拡大している。

金与正氏は今後北朝鮮の対内政策はもちろん、対南・対米など外交政策に影響力を拡大するとの見通しもある。金正恩氏の健康異常説が間違いないなら、その回復次第では北朝鮮の権力構図再編をめぐる混乱は避けられなくなることが予想される。金日成、金正日から継承されてきた1人執権体制の基盤が揺れながら金与正氏での権力世襲が遅れ、軍勢力間または、親中・親露政治勢力間の権力争いで体制崩壊まで進むシナリオも提起されている。

◆青瓦台「金正恩の身辺に異常ない」

青瓦台は金正恩氏の健康異常説について、この日「確認できる内容がなく、北朝鮮に全く特異動向がない」と一蹴した。国家安全保障会議(NSC)常任委員会も開かれなかった。金正恩氏が12日、香山(ヒャンサン)診療所で心血管系手術を受けたという北朝鮮専門メディア「デイリーNK」の報道と「心血管系手術後、危篤な状況」と伝えたCNN報道をどちらも否定したものだ。国家情報院もこの日、国会情報委員会に「金正恩の健康に特異な兆候は現れたとは思えない」という内容の報告をしたことが伝えられた。

別の政府消息筋によると、金正恩氏が11日に政治局会議を主宰した後、元山地域に滞在しているという情報も収集された。

ただし、北朝鮮内ですら金正恩氏に関する消息や情報が統制されているだけに、朝鮮中央通信や労働新聞など北朝鮮官営メディアが金正恩氏について消息を伝える前まではすべての可能性にオープンな姿勢を保ちつつ、万が一起きるかもしれない北朝鮮権力構造および体制変化への対策を用意しなければなければならないと専門家は口をそろえている。