韓経:同盟よりお金を前面に出したトランプ…米国、「世界の警察」放棄

  • 2019年10月25日

米国が「世界の警察」役を果たすようになったのは第2次世界大戦終戦以降だ。以前は孤立主義と不介入原則を採択した。第1次世界大戦時はドイツが、第2次世界大戦時は日本が先に攻撃しなかったら米国は戦争に参戦しなかったかもしれない。1945年以降は共産主義の拡散を防ぐために、各種局地戦やテロなどを防ぐために世界各地に軍隊を派遣した。

だが、米国主導のこのような世界秩序が変わっている。その先鋒にドナルド・トランプ米国大統領がいる。トランプ大統領は「米国第一主義」を前面に出している。同盟よりもお金と米国の利益を露骨に追求する。

米軍シリア撤退はトランプ大統領の孤立主義が最も鮮明に表れた事例だ。トランプ大統領が今月7日、シリアから米軍を撤退させる方針を明らかにしたその2日後、トルコが米国の対テロ戦の戦友だったクルド族を侵攻しながら世界と米国内から激しい批判世論が出たが、トランプ大統領はそれにもかかわらず軍撤退を強行した。あわせてシリアからの米軍撤退は2016年大統領選挙公約だったと言及した。トランプ大統領は23日(現地時間)のホワイトハウス声明でも「米軍の課題は世界の治安を維持することではない」と釘をさした。

ワシントン・ポスト(WP)の副編集者であるボブ・ウッドワード氏は昨年の著書『FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実』で、2016年大統領選挙当時のトランプ大統領の核心アジェンダとして、反移民、製造業雇用の底上げととも「無意味な戦争からの撤退」を挙げた。

米国が18年間戦争を繰り広げたアフガニスタンからトランプ大統領が米軍撤退を準備していることやホルムズ海峡でタンカー保護負担を同盟国と分担しようとすること、北大西洋条約機構(NATO)の欧州加盟国に対する防衛費分担金引き上げ要求なども同じ脈絡だ。

韓国も「トランプ式孤立主義」の直接的影響を受けている。トランプ大統領は昨年6月のシンガポール米朝会談で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と1回目の米朝首脳会談を行った後、電撃的に韓米演習縮小方針を発表した。演習コストが大きいというのが直接的な理由だった。

米国は韓国に防衛費分担金も大幅に増やすよう要求した。トランプ大統領はこれまで韓国を狙って「安保列車にタダ乗りしている」と主張してきた。今年韓国の分担費用は1兆389億ウォン(約960億円)だが、米国はこれを50億ドル(約5400億円)まで増やさなければなければならないと圧迫しているという。

韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)など韓日葛藤を米国が積極的に仲裁しないのも孤立主義と関係がないわけではない。以前の米国政府では考えられないことだ。

「トランプ式孤立主義」は米国経済力の相対的な衰退、シェール革命による中東産原油依存度の下落、冷戦体制解体などが複合的に作用した結果だ。自由貿易とグローバル化の結果、米国低所得層が被害を受けたという認識が高まり、トランプ大統領は彼らを代弁している。

だが、トランプ式孤立主義は中国が台頭しロシアが影響力を拡大して「強大国間の競争」が再演される状況で米国の国益に害になるかもしれない。差し当たりシリアからの米軍撤退以降、米国の空席をロシアが埋めてシリア北部地域におけるロシアの影響力が強まった。これに関連し、共和党の院内指令塔であるミッチ・マコーネル上院院内代表は18日、WPの寄稿を通じて「シリアからの米軍撤収は深刻な戦略的ミス」と公開的に批判した。

AP通信は「米国第一主義が、実際には『米国孤立』を意味するような印象を残した」と皮肉った。ニューヨーク・タイムズのコラムニストであるトーマス・フリードマン氏も、この日のコラムで、トランプ大統領の米軍シリア撤退が「ウラジーミル・プーチン(ロシア大統領)の勝利、クルド族の敗北、米国の同盟に対する多くの不確実性に帰結された」と指摘した。あわせて著名な国際関係学者であるマイケル・マンデルバウム氏を引用し、「ドイツと日本が米国の安全保障がこれ以上有効でないとの結論を出すなら、彼らは核兵器を保有することになるだろう」と見通した。

韓半島(朝鮮半島)周辺でも米国の影響力が衰退する可能性がある。中国とロシアは7月、韓日葛藤が本格化しているにもかかわらず、米国が積極的に出ないことをいいことに、爆撃機を動員して韓国防空識別圏(KADIZ)を侵した。韓日米共助の隙間に入り込んできたのだ。ロシアは今月22日にも6機の軍用機でKADIZを侵犯した。