韓経:日本型長期不況に「負債デフレ」懸念も…韓国政府は「一時的現象」

  • 2019年10月2日

1日、ソウル市内の大型スーパーで消費者が買い物をしている。 カン・ウング記者

9月の消費者物価上昇率が過去初めて2カ月連続でマイナスになると、韓国政府は直ちに「外部要因による一時的な現象にすぎない」という反応を見せた。金容範(キム・ヨンボム)企画財政部第1次官は1日のマクロ経済金融会議で「国際原油価格や農産物価格が急変して一時的に生じた現象にすぎず、低物価状態が長期間続くデフレ状況ではないと分析される」と説明した。

しかし専門家らの見方は違う。「デフレが迫っているが、政府の現実認識はあまりにも安易だ」という意見が多い。外部要因とは別に経済主導者の消費心理と需要も冷え込んでいるという点でだ。「政府がデフレに入った事実を明確に認識して経済の活性化に注力しなければ『日本式長期不況』が現実になる」(成太胤延世大経済学部教授)という声も出ている。消費者物価が8月に続いて9月にもマイナスになり、長期不況局面に入るのではという懸念が強まっている。

◆政府「外部要因のため」というが…

政府はマイナス物価が一時的な現象にすぎないという根拠に、9月の国際原油価格と農産物価格が前年同月比で急落した点を挙げた。企画財政部は「昨年9月に1バレルあたり77ドルだった国際原油価格が先月60ドル水準に落ちるなど国際原油価格と農産物価格が下落し、全体の物価上昇率を1%ポイントほど引き下げた」と説明した。統計庁の関係者は「9月から全国高校3年生を対象に無償教育が全面施行され、教育関連費用が大きく下落した」と述べた。

こうした政府の説明と違い、学界では「経済主導者の需要と消費心理の冷え込みが物価の下落に大きな影響を及ぼした」という見解が多い。9月の原油価格と農産物価格の影響を排除した根源物価(コア・インフレ、農産物および石油類除外指数)上昇率が前年同月比0.6%にとどまったのが根拠だ。これは通貨危機直後の1999年9月(0.3%)以来の最低水準。前月比でも根源物価上昇率の下落幅(-0.3%)は全体物価上昇率の下落幅(-0.4%)と似ていた。

個人サービスの物価を見ると、消費の冷え込みはさらに明確に表れる。天気の影響を受ける農産物、国際原油価格によって価格が上下する工業品とは違い、外食・住宅管理費など個人サービスは相対的に外部要因の影響をあまり受けない。先月の個人サービスの物価上昇率は前年同月比0.5%にとどまった。

◆近づく「デフレの恐怖」

デフレは長期不況につながる。物価下落が続けば経済主導者はできる限り消費を先に延ばす。価格がさらに落ちてから買う方が得だからだ。こうした雰囲気が経済全般に広がると企業の収益と投資が減る。すると勤労者の賃金が上がらず、家計は厳しくなる。悪循環が繰り返され、景気低迷が深刻化する。1990年代末-2000年代にデフレを経験して深刻な長期不況に苦しんだ日本がそうだった。

すでに韓国経済でもこうした現象が観測され始めた。個人サービスを項目別に見ると、9月の海外団体旅行費(5.4%→マイナス4.2%)、展示館入場料(3.1%→0.8%)、公演芸術観覧料(1.7%→マイナス0.7%)など文化生活関連の幅広い分野の物価上昇率が前年同月比で大きく落ちた。ある民間経済研究所の関係者は「景気の影響を受けやすい文化生活分野からデフレの影響が及び始めた」とし「客席が空くためチケットの価格を下げたが、それでも観客は増えず、また価格を下げるという悪循環が始まったのが代表的な事例」と説明した。

格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はアジア太平洋地域四半期報告書で、韓国の国内総生産(GDP)基準の成長率予測値を従来の2.0%から1.8%に下方修正した。S&Pは「景気に対する家計と企業の確信が大幅に弱まり、支出減少と輸出鈍化につながった」と診断した。需要と消費心理が鈍化した影響が経済全般に広がっているという意味だ。

「負債デフレ」恐怖も拡大している。物価の下落で実質金利が上昇すれば、経済の主体は債務の負担が増えて消費余力は減る。このため負債を減らそうと償還を急いで資産を売却し、これが物価の下落をさらに加速させるという懸念だ。韓国銀行(韓銀)によると、4-6月期末基準で預金銀行と預金取扱非銀行の家計向け融資は1467兆ウォン(約131兆円)だった。