韓経:【コラム】10年後の韓国を心配する理由

  • 2019年6月19日

「いまはどの企業も10年後を壮語できない」。サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は先週開かれた社長団との経営戦略点検会議でこのような危機感をにじませた。サムスンが直面した現実を見ると、ただの儀礼的な修辞だと言って片付けることはできない。かつて李健熙(イ・ゴンヒ)会長が時々していた話にしてみても同じだ。「昨年の売り上げが244兆ウォン(約22兆5700億円)のサムスン電子はピークを過ぎつつあるか、すでにそうではないか」。誰が見ても危機状況にあるサムスンは、今その分岐点に立っているようだ。

「10年後を壮語できない」という李副会長の言葉を聞いて脳裏に浮かんだのはサムスンではなかった。「企業」という言葉の代わりに「国家」または「国」という単語を入れたほうが適切ではないかという考えだった。

「そのどの国も10年後を壮語できない」。余計な老婆心であればいいのだが、韓国社会で10年後を心配する声がますます高まっている。

◆投資の魅力が消えた国

国内外企業が算定する韓国の投資魅力度はすでに底だ。海外に出て行く工場とお金が、国内に入ってくる工場とお金に比べてはるかに多くなってすでにかなり経っているという点からも簡単に確認することができる。相続税などの問題で海外に移住する金持ちたちも増加している。

最近、政府の統計を見ると、今年1-3月期の韓国企業の海外直接投資は141億1000万ドル(約1兆5300億円)で、外国人の国内直接投資(申告基準)は31億7000万ドルだった。韓国企業が海外に投資した規模が海外企業が国内に投資したものの5倍近くになる。

大企業だけでなく、中小企業の中でも厳しい規制環境などを避けて他の国に工場を移すところが少なくない。中小企業家の間では最悪の状況に陥る前に移るべきだという話まで出ている。製造業の雇用が14カ月連続で減少している理由だ。

製造業とサービス業は核心経済指標である国内総生産(GDP)を構成する2本の軸だ。昨年基準でGDPのうち製造業の比率は30%、サービス業の比率は59.1%だった。問題はサービス業の競争力も落ちるところにある。韓国は製造業が不安定になったとき、サービス業がこれを支えられるような構造にはなっていない。

経済協力開発機構(OECD)によると、韓国の既存サービス業の生産性は製造業の半分にすぎない。生産性が製造業の80%以上である米国、欧州主要国とは相手にならない。そのうえビッグデータ、遠隔医療など未来型サービス産業まで厳しい規制のせいですぐには活路が見出せずにいる。果たして何をもって今後10年を支えるのか心配になるほかはない。

◆「そろそろ現実の直視を」

経済学者のコン・ビョンホは2004年に『10年後、韓国』を出版した。近づく韓国の未来を心配して書いた本だ。コン氏は序文で「私の直観や洞察、判断はいつも正確ではない」としつつも「生き残りたいならそろそろ現実を直視したほうがいい」と書いた。それから「今後、経済は躍動性を失う。外部要因もあるが、それよりも大きな要因は私たちの内部にある」と書いた。

韓国社会はコン・ビョンホが懸念した道をほぼそのままたどってきた。経済の躍動性は消え、内部葛藤と対立は深まるだけ深まった。コン・ビョンホは▼主力産業が揺れる▼離れる企業、消える雇用▼リスクを甘受しない人々▼躍進する労働組合▼対米外交、感情だけではだめだ▼海外に流出するお金▼深まる世代間葛藤--などを予測した。

過去10年のように製造業工場が国外に出ていき、多国よりも遅れたサービス業競争力をそのまま放置する10年になるなら、考えただけでもぞっとする。かろうじて開いた3万ドル時代は今ではなく過去に流した汗の賜物だ。10年後を考えるなら、今こそ変わらなければならない。

キム・スオン/編集局副局長