韓経:【コラム】質問が恐ろしい韓国政府

  • 2019年6月14日

質問を恐れる権力は危機に直面するものだ。

米連邦準備銀行(FRB)の秘密主義は特別だった。1994年以前までは金利決定後にもいかなる発表がなかった。そうするうちにベン・バーナンキ議長がFRBを設立して97年で初めて2011年記者会見を行った。バーナンキ氏は「未曽有の世界金融危機を迎えて市場の疎通なしにはどの政策も効果を得ることが難しいという判断だった」と回顧した。事務室を閉めた後、予想質問を選んで会見を準備したバーナンキ氏の疎通努力は危機克服の礎石になったという評価だ。

韓国の官僚の中でも「疎通の達人」が少なくない。イ・ホンジェ、チン・ニョム元経済首相が代表的だ。歴代最高の官僚を挙げてほしいという質問に常に1、2位を競う二人の共通点は記者室を自分の家のように出入りしていたということだ。若い記者らが吐き出すトゲのある質問も意に介さなかった。「副首相がバランスを取れず経済状況が厳しいという批判がある」という攻撃的質問に李副首相はしばらく項垂れて下を向いた後「私の中心には何の異常がありません」と受け渡したりもした。度合いを行き来する絶妙なこの回答が経済チームに対する信頼につながったのはもちろんだ。

民主政治の要は疎通であり、疎通は質問して答えることだ。西洋哲学の出発点と言われるソクラテスは「問わない人生は価値がない」と言った。双方向対話が真理の発見と高揚に欠かせないというこの命題が2500年後韓国で否定されることがしばしば目撃される。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨年末、機内懇談会で国内問題に対する質問と回答を断った。

1カ月前の就任2周年出入り記者団懇談会も当日取り消しになり質問の機会が最初から封鎖された。ついに 朴相基(パク・サンギ)法務長官は「記者のいない記者会見」という寸劇を行った。質問を受けないというパク長官の意地に記者らが会見をボイコットしたわけだ。

文大統領は2年前、就任の辞で「疎通する大統領」という言葉を3度も口にした。主要懸案は直接メディアにブリーフィングして光化門(クァンファムン)広場で大討論会も開くといった。前任者の「不通」をそのように批判したのに、さらにひどい不通に陥った姿だ。

対話は民主政治体の基本であり長い間の美徳だ。アテネ民主政とローマ共和政で雄弁術と修辞学が流行したのはそのような理由のためだった。言葉がなければ存在も魂も無意味になる。ドイツ哲学者のマルティン・ハイデッガーが「言語は存在の家」だ言った通りだ。それでもますます疎通は遠ざかり「ショー通」だけが見える。青瓦台(チョンワデ、大統領府)参謀はフェイスブックで毒舌を吐き出しながらも、本来国民が心配していることは対外秘として口を閉じている。エリアス・カネッティは「秘密が多いほど権力は孤立する」と言った。質問を恐れる権力は危機に直面するものだ。