韓経:韓中同時危機説…「1ドル=7元=1200ウォン」突破するか

  • 2019年5月27日

人民元の価値は米中貿易摩擦のバロメーターだ。摩擦が深刻化すれば切り下げられ、進展すれば切り上げられるためだ。10日に米国の報復関税が課される直前に1ドル=6.6元台まで上がった人民元の価値はその後徐々に下がり、「破七」すなわち「1ドル=7元」を目前にしている。

オバマ政権時代の「上海密約説」に続き中国との貿易交渉過程で一貫して「人民元相場操作防止明文化」に力を注いだ米国としては鋭敏に反応するほかない。トランプ大統領は特にそうだ。中国が人民元安で対抗する場合、報復関税効果が無力化されるほかないためだ。

中国は貿易と為替相場の非連係性を連日強調している。景気対応的要素などを考慮した現行の為替相場制度では前日の経済指標が振るわなければ「切り下げ」、改善されれば「切り上げ」して告示するだけだと主張する。だが米国との関係が中国経済に大きな影響を与えており、それ自体が摩擦と誤解の素地を抱えている。

米国の公憤をさらに呼び起こしているのは中国も人民元切り下げが不利な点が多いのに実際には行動に移しているためだ。人民元切り下げは経常取引面で輸出を増大させる効果があるが資本取引面では資本流出を招き金融危機の懸念が高まる。人民元の国際化などを通じて中国の対外地位を高める計画にも支障をきたす可能性が高い。

米国が「人民元切り下げ」に最も明瞭に対応できる手段は「ドル安」だ。だが初期に現れる「Jカーブ効果」のため2020年の大統領選挙前まで中国との貿易赤字が拡大し、自ら失敗を招く可能性が高い。したがって簡単に切れるカードではない。グローバルシニョリッジ(貨幣発行益)が減りドル建て資産の資本損失が大きくなる負担もある。

毎年4月15日前後に発表した米財務省の上半期為替報告書を今年は1カ月以上遅らせてきたのもこのためだ。下半期から共和党候補選挙戦に力を注がなければならないトランプ大統領としては今回の報告書が自身の意志を盛り込める最後の機会だ。中国を為替相場操作国に指定するというのは2016年の大統領選挙公約事項だ。

だがトランプ政権発足前から適用してきたベネット・ハッチ・カーパー(BHC)法の指定要件では中国を為替相場操作国に指定することが不可能だ。むしろ▽対米貿易黒字200億ドル以上▽国内総生産(GDP)比経常黒字3%以上▽外国為替市場介入が持続的でありその費用がGDPの2%を超える要件のひとつしか満たしていないので「為替相場観察対象国」からも除かなければならない。

トランプ大統領の指示によりBHC指定要件を緩和させるために検討した結果が「1988年総合貿易法」だ。この法律によると大規模経常収支黒字と有意味な対米貿易黒字のうちひとつの条件だけ引っかかっても為替相場操作国に指定でき、今年上半期の為替報告書からは他の目的と関連して悪用される素地が懸念されてきた。

中国が為替相場操作国に指定されるならトランプ大統領は議会の承認なく大統領令で100%の報復関税をかけられる。対中貿易赤字とともに2020年の大統領選挙で最大の弱点である日増しに増える財政赤字を関税収入で埋めることができ最も魅力的なカードだ。だが「極端な利己主義」という国際的非難は避けられない。

悩んだ末に「人民元切り下げ」への対応手段として見つけたのが「相殺関税」だ。相殺関税とは貿易相手国の補助金で影響を受ける自国産業を保護するために世界貿易機関(WTO)体制でも認めている制裁手段だ。近く発表される財務省の為替報告書で人民元切り下げ幅が決定されれば商務省は補助金と見なして相殺関税を課すと予想される。

中国の対応が重要だ。報復関税と同じように今後課される相殺関税を人民元の追加切り下げで対抗する場合、米中の当事国だけでなく世界経済に最悪の状況が押し寄せかねない。 ファーウェイ締め出しに共同戦線ができグローバルバリューチェーンが急速に崩壊する環境ではさらに懸念される。

中国が「1ドル=7元」を固守するとみているのもこのためだ。そうでない場合、ウォン相場も「1ドル=1200ウォン」を突破すると予想される。対外戦略不在で眺めているだけの韓国としては米中交渉妥結の最後の機会になる来月の主要20カ国(G20)首脳会議でトランプ大統領と習近平中国国家主席が「ソロモンの知恵」を発揮することを願うばかりだ。「悲しい現実」だ。