韓経:生産の崖の渦中に…「ストの旗」掲げた韓国の自動車労組

  • 2019年4月24日

韓国GM労働組合の組合員が先月15日に仁川・富平本社で研究開発分離法人の既存団体協約継承などを要求しスローガンを叫んでいる。(写真=韓経DB)

韓国自動車業界が春闘の恐怖に包まれている。会社が収益性悪化で苦しむ中で労働組合ごとに賃金・団体協約とあらゆる政治的理由などを掲げて闘争の旗を掲げた。そうでなくても「生産の崖」に陥った自動車業界に「労組リスク」まで重なり、世界市場から落伍するのではないかとの懸念が大きくなっている。

現代自動車労組は23日、「先制的総スト・総力闘争で労働法改悪を打ち砕く」という題名の消息誌を出した。ストの際の代替労働許容などを含む自由韓国党の「労働組合と労働関係調整法改定案」などが今月末に国会環境労働委員会で議論されれば総ストに出ると脅しをかけた。

韓国GMは昨年5月に経営正常化作業に入ってから1年ぶりに再びストに追いやられる直前だ。同社労組は22日からこの日まで2日間にわたり研究開発分離法人のGMテックコリア(GMTCK)所属組合員2067人を対象に争議行為をめぐる投票を実施した末に組合員比の賛成率82.6%でスト権を確保した。

ルノーサムスンはすでに長期ストで満身瘡痍だ。同社労組は昨年10月からの7カ月間に62回、250時間のストを実施した。業界では労組のストが繰り返されれば韓国の自動車生態系維持の「マジノ線」とされる年400万台生産体制が崩壊するだろうとの懸念が出ている。

◇会社は倒れそうなのに…最後まで「既得権」確保するという労組

現代自動車をはじめとする自動車業界に労働組合のストの波が押し寄せている。長期にわたる販売不振に高コスト低効率の生産構造に踏み付けられてきた自動車業界が「習慣的スト」で競争力を喪失したままこのまま座り込むことにならないかとの心配があふれている。自動車業界では「労組リスク」から抜け出せなければ「生産の崖」の谷はさらに深くなるだろうという懸念も出ている。

◇習慣的なストで自動車業界ぐらつく

現代自動車労組は23日に消息誌を通じ自由韓国党のチュ・ギョンホ議員らが発議した「労働組合と労働関係調整法改定案」などに反対すると明らかにした。政権与党である「共に民主党」が推進中の弾力労働制拡大と最低賃金決定構造改編なども防ぐと宣言した。同社労組は「民主党と自由韓国党がこの改定案を4月の国会環境労働委員会に上程すれば5万人の組合員の命運をかけ総ストを含んだ総力闘争に出る」と脅しをかけた。

チュ議員ら国会議員17人が発議した改定案は▽団体協約の有効期間2年から3年に拡大▽事業所占拠禁止▽争議行為期間の代替労働禁止規定削除▽スト参加強要行為禁止などが盛り込まれている。現政権になって不可能のない権力を振り回す労組を法的に牽制するという趣旨だ。業界関係者は「現代自動車労組が賃金団体交渉と直接的関連がない政治問題を挙げて闘争と連係するのは話にならない」と指摘した。

金をもっと出せという無い物ねだりもしている。同社労組は今年の賃金団体交渉協議案に「通常賃金未支給金要求案」を掲げて本格闘争に出る方針だ。起亜自動車労使が先月合意した通常賃金未支給分支給額の1人当たり平均1900万ウォン相当をさらに払えという要求だ。同社関係者は「通常賃金訴訟で1・2審とも労組が勝訴した起亜自動車と会社が勝った現代自動車の状況は厳格に異なる」と一蹴した。現代自動車労組は1987年の設立以降4回を除き32年間毎年ストを行った。

韓国GMもストを目前にしている。会社が昨年5月に経営正常化作業に入ってから1年ぶりだ。韓国GM労組は22~23日の2日間に研究開発分離法人であるGMテックコリア(GMTCK)所属組合員2067人を対象に争議行為をめぐる投票を実施した。GMTCK所属組合員1891人が投票に参加し、組合員の82.6%に当たる1707人が賛成票を投じた。労組は会社側との交渉がまともに進まなければすぐにストに出る計画だ。

同社労組は韓国GMから分離したGMTCKが既存の賃金体系と福祉、人事規定を盛り込んだ団体協約をそのまま継承すべきと主張した。会社側は既存の生産職中心にまとめた団体協約を研究開発と事務職中心の新設法人にそのまま適用することはできないという判断だ。同社の今年1-3月期の生産台数は3万8201台で昨年の4万1742台から4.5%減った。

◇「労組も会社の存続を悩まなければ」

ルノーサムスン自動車は労組の長期ストでふらついている。同社労組は昨年10月からこれまで7カ月にわたり部分ストを継続している。この期間のスト回数は62回、スト時間は250時間に達する。売り上げ損失額だけで2806億ウォンに及ぶ。基本給引き上げを要求してきた労組が先月末から作業転換配置の際の労組合意など別の問題を取り上げ労使交渉は膠着状態に陥った。

ルノーサムスンは今年1-3月期に前年同期比40%減の3万8752台を生産するのにとどまった。ついに29日から5日程度一時的に工場稼動を中断するシャットダウンを実施することにした。ルノーサムスンのドミニク・シニョラ社長はこの日、釜山(プサン)商工会議所のホ・ヨンド会長と会い、「内需販売回復と釜山工場正常化に向け最善を尽くす」と話した。

業界では販売不振にストまで重なる場合、マジノ線とされてきた年間400万台生産体制が崩壊するかも知れないという懸念が出ている。すでに1-3月期の国内自動車生産台数は95万4908台で金融危機直後の2009年1-3月期以降で最低水準に落ち込んだ。産業研究院のイ・ハング研究委員は「労組リスクを解決できなければ韓国の自動車業界は世界市場から淘汰され再び競争力を確保するのは難しいだろう。労組もいまは会社の存続を考えなければならない時だ」と話した。