韓経:【コラム】「忖度」の日本

  • 2019年4月9日

日本の安倍晋三首相は2006年に最年少首相に選出された後『美しい日本』という題名の本を出した。「活力と親切があふれる、世界に開かれた美しい国」という国家像を提示したこの本は50万部以上売れた。

安倍首相の強調でなくても日本は美しさに対する執着が格別だ。食べ物にもひたすら美しく見せるために作ったメニューがあるほどだ。こうした特有の美学は、きれいさ、秩序整然さ、まめさなどで表出され世界の人たちの注目を浴びる。2011年の東日本大震災の際に略奪も、放火も、政府批判集会もなく秩序整然な姿を見せ世界の人たちを驚かせた。

だが美しさに対する強迫が「赤信号でも一緒なら渡る」という日本人の集団主義と結合すれば多くの副作用を生む。「組織内の美しくない恥ずかしいことは隠す」という心理が発動するのだ。過去の問題で恥ずかしく暗い歴史的事実から目を背けるのもこうした背景のためという分析が多い。

「美しい日本、一等日本」を強調する安倍時代に「忖度」が最大流行語に浮上したのは別の見方をすれば自然だ。忖度は「他人の心を先読みして推し量る」という配慮の意味があるが、いま日本では「上部の気持ちを察して気を回す」という否定的意味で広がっている。塚田一郎国土交通副大臣が「安倍首相の地元の道路事業を私が忖度した」と失言した後に波紋が大きくなると辞任した事件のためだ。

首相夫人の安倍昭恵氏が名誉校長である私立学校に財務省が国有地を安値で売却して大きく流行した単語がわずか1年ぶりに再び登場したのだ。当時安倍首相は「妻の関与が明らかになれば首相を辞任する」と話すと、「関係ないようにしろとの忖度指示」という批判が沸き立った。

忖度は日本人が本能的に体得している世渡り法に挙げられる。英フィナンシャルタイムズが「安倍時代の日本を説明するのにこれよりも強い響きを与える言葉はない」としたほどだ。ことがうまく進めば褒賞が与えられ、事故が起きれば全面的に下の人が責任を負う方式の人治型組織文化だ。

日本の集団主義的で閉鎖的な文化に「それ見たことか」と得意になる必要はない。韓国も特に変わらないからだ。朴槿恵(パク・クネ)政権時代に経済副首相が韓国銀行総裁に会った後「金利のきの字も話していないが以心伝心だ」と話しながら公開圧迫した。文在寅(ムン・ジェイン)政権では検察と裁判所にまで「忖度」を圧迫しているという疑いが広範囲なのが現実だ。

ペク・グァンヨプ/論説委員