韓経:失敗しても責任問わない韓国の国家研究開発事業が開始

  • 2019年3月27日

産業通商資源部は26日、ソウル市内のホテルでアルケミストプロジェクト推進に向けたグランドチャレンジ発掘委員会発足式を開いた。鄭升一産業通商資源部次官(左から3人目)が分科別委員長らと並んで立っている。左から李秉周漢陽大学教授、李起相現代NGB代表、鄭次官、李建雨ソウル大学教授、キム・ドンソプ新盛ENG社長、ソン・ジョンラク韓国機械研究院センター長。

韓国政府が成功の可能性は高くないが潜在力の大きい未来技術開発課題を選定し全面的な支援をする異色プロジェクトを開始する。創意性を最大限発揮できるよう失敗の責任も追わせないことにした。

産業通商資源部は26日、「アルケミスト(錬金術師)プロジェクト」を稼動し7年間に総額6000億ウォン(約581億円)を投じると発表した。

錬金術師は古代ギリシャ時代に鉄から金を作ろうと試みた人々だ。目標は達成できなかったが各種実験過程で硫酸や硝酸などを発見し、化学分野の発展に大きく寄与した。アルケミストプロジェクトは錬金術のように無謀に見えるが破壊的な潜在力を持った挑戦的課題を集中支援する方式の研究開発事業だ。約20件の課題を厳選した後7年にわたり300億ウォンずつ投資する。

このプロジェクトはこれまでの政府研究開発が失敗に対する責任所在のため保守的に運営されてきたという反省から始まった。政府研究開発は毎年開発目標を定め、これに大きく満たなければ翌年の予算を削減する形で不利益を与えた。技術開発に最終失敗すれば該当機関は今後研究開発申請禁止の制裁まで受けることもある。研究者は失敗に対する恐れのため成功の可能性が高い容易な課題にばかりしがみつく慣行が定着したというのが産業通商資源部の判断だ。

韓国政府もリスクを分散するという名目で多くの課題を策定した後に予算を分配した。産業通商資源部の研究開発課題だけでも年平均支援額は1件当たり約5億ウォンにとどまり、支援期間は最長2~3年が普通だった。

アルケミストプロジェクトは目標に対する評価自体をなくしたことが最も大きな特長だ。代わりに定期的に成果発表会を開き研究進行過程を大衆に公開する。産業通商資源部関係者は「当初目標を達成できなくても研究過程で多様な発見があるならばそれだけで意味があるだろう」と話した。

1件当たり支援規模も大きい。プロジェクトに選ばれた課題に基本5年間毎年50億ウォン以上を支援することにした。先行研究期間の2年を合わせると合計7年だ。今年のモデル事業は自動車、ロボット、先端装備、再生可能エネルギー、エネルギー効率向上の5分野だ。総額100億ウォンを投じることにした。来年からは分野の制限もなくす。

米国防高等研究企画局(DARPA)が運営しているトーナメント型研究開発方式を適用する。ひとつの課題に対して3つの機関を選抜して2年間先行支援し、そのうち成果が優秀な1カ所に5年間予算を集中する方式だ。

企業にも門戸を開放する。企業は若干の参加費用を出して正式会員として登録した後、共同技術開発、技術移転などができる。課題は専門家60人で構成された「グランドチャレンジ発掘委員会」で国民の意見取りまとめの手続きなどを経て選定する。国立順天(スンチョン)大学のパク・ギヨン大学院長は「政府研究開発に冒険精神を吹き込むという趣旨。高難度研究の場合10年でも足りないこともあるだけに課題当たりの支援期間を増やすことが重要だ」と強調した。