韓経:【コラム】韓国、低成長を当然視するな

  • 2019年2月8日

第4次産業革命を牽引(けんいん)する人工知能(AI)投資ブームが起きているが、世界の経済見通しは逆に進んでいる。世界景気が下降局面に入るだろうという懸念がそれだ。国際通貨基金(IMF)は世界景気のピークを2017年に操り上げ、世界銀行(WB)は世界潜在成長率が2013~2017年2.5%から2018~2027年2.3%に落ちると見通した。

経済見通しにはそうなるだけの理由があるが、第4次産業革命で期待されるといわれる高い生産性効果はすべてどこに行ったのか疑問が湧かざるをえない。たとえ他の国はそうだとしても、AIなどで先端を行く米国まで景気鈍化の懸念が出てくるところを見るとなおさらだ。経済学者ロバート・ソローが1980年代コンピュータ革命の中で提起した「生産性パラドックス」がAI時代にも再現されるのではないかという仮説が出てくるほどの状況だ。

エリック・ブリニョルフソンなど一端の学者はこの点に注目した。ソローがコンピュータの拡散にもかかわらず、生産性の増大効果が統計的に観測されないと述べたように、彼らも「期待と統計の衝突」という観点から「AIと生産性パラドックス」問題を提起した。AIに対する期待は高いが、現在の生産性統計ではその効果を正確に測定することはできないということだ。

「革新」を超えて「革命」を語る時代に、生産性の増大効果がすぐに現れない現象に対し、経済学者の解釈は大きく3種類だ。生産性の増大を過小評価する国内総生産(GDP)統計上の測定問題、生産性増大を制限する偏重した技術拡散、そして本格的な生産性増大につながるまでにかかる時間差などだ。ところでこの解釈は生産性パラドックスを克服する方向も同時に示している。

ソローの生産性パラドックスに関連し、1990年代中盤以降、米国の生産性増加回復を発見した研究が物語っているように、生産性は革新が成長に貢献する核心経路だ。統計的に解決しなければならない測定問題を脇に置くなら、われわれが注目すべきことは2番目と3番目の要因であろう。国家経済が革新の拡散や時間差の問題にどう対応するかによって、生産性も成長も大きく変わるためだ。

韓国の現実に目を転じてみると、不幸にも生産性パラドックスを克服する戦略は見えない。革新の果実は少数だけに残るという不平があふれているだけで、革新が中小企業やサービス業など生産性の低い部門に流れていくことを遮断している障害物を取っ払う政治的意志がない。だから成長につながるはずがない。急激な最低賃金引き上げ、画一的な労働時間短縮などの衝撃を吸収する方案も結局は生産性しかないが、労働政策が生産性を高めるほうへ向かうどころか、逆走しているのもまた同じだ。

技術革新と生産性増大効果の間に時間差があるというのは、どの国にも関係なく見られる共通した現象だが、時間差の程度は国によって異なる。重大な技術革新であるほど、これを受け入れる社会的制度の「再構造化」次第で国の飛翔と墜落が分かれるという経済学者カルロタ・ペレスの観察も同じ脈絡だ。

文在寅(ムン・ジェイン)政府は「低成長は世界的な現象で、韓国経済は潜在成長率と同じくらい成長している」と言う。政府が低成長を当然視すれば革新成長は立つ瀬がない。しかも韓国経済の潜在成長率下落ペースは非常に速い。今後、経済成長率がこのペースに合わせて落ちたとしても何の問題もないということなのか、知りようもない。

政府はグローバル景気の下降見通しを低成長が避けられないもう一つの理由にしようとしているのかもしれないが、怖いのはグローバル景気が下降する中で生産性戦争を行う国とそうでない国の運命が交錯するその次のサイクルだ。経済学者ポール・クルーグマンは「生産性が全てというわけではないが、長期的にはそれがほぼ全てだ」と言った。少子高齢化に直面した国ならこれ以上言うこともなかろう。

アン・ヒョンシル/専門委員