韓経:【社説】「製造業が回復している」という認識が心配な理由=韓国

  • 2018年11月22日

政策策定の最初の段階は正確な現状把握だ。起きている様子を正しく知ってこそしっかりとした診断と処方が可能だ。そうした点から「製造業が回復し始めた」という最近の青瓦台(チョンワデ、大統領府)の経済状況認識は心配だ。四方で鳴っている主力産業危機と景気低迷長期化警報とは全く違うためだ。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は20日の閣議で、「自動車生産が再び増加し、造船分野も世界1位を奪還した。機会を生かせるよう最善を尽くすことを望む」とした。一部の数値だけ見ればそう考えることもできるだろう。だが該当業種が置かれた現実は生き残りを心配しなければならないほど深刻だ。8~10月の自動車生産実績は97万31台で前年同期比6.4%増えたが、例年より長かった昨年の秋夕(チュソク)連休とストによるベース効果の影響が大きい。造船業も世界市場でのシェアが10月に44%で再び1位に上がったが、受注量は好況期である2007年の20%にも満たない。「来年の業況が予測不可能なためどうにか延命して持ち堪える水準」というのが業界の主張だ。

成長牽引車である韓国の製造業が総体的危機に置かれているというのが産業現場と多くの専門家らの診断だ。1~9月の製造業工場稼動率72.8%は通貨危機以降20年来の最低水準だ。輸出の柱である半導体好況が鈍化しているが鉄鋼をはじめとする主力産業は沈滞を抜け出せずにいる。

それでも韓国政府当局者は「大きな枠組みで政策修正はなく、経済基礎体力も異常ない」(金秀顕青瓦台政策室長)、「雇用状況は厳しいが経済危機ではない」(洪楠基副首相兼企画財政部長官候補者)という話を繰り返している。「現経済は危機ではなく、所得主導成長を継続推進しなければならない」と固執した張夏成(チャン・ハソン)前青瓦台政策室長の話とそっくりだ。

「韓国政府が見たいものだけ見るので誤った認識が続き、経済復興など緊急な課題が政策優先順位から押し出されている」という世間の評価が出ている理由だ。「最近の製造業分野で目を見張るものがある」という文大統領発言もこうした状況と無関係ではないだろう。文大統領は5月に「最低賃金引き上げの肯定的効果は90%」とも話した。だれがどんな理由で大統領の目と耳をふさいでいるのか。経済沈滞が加速化しているのに大統領を誤導することが放置されては困る。現実と乖離した「希望的思考」ではしっかりとした処方を出すことはできない。