韓経:韓国、福祉支出増加速度がOECDの4倍…国家債務の処理は誰が?

  • 2018年11月2日

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨年の大統領選挙当時の公約で65歳以上のうち所得下位70%の高齢者に支給する基礎年金(2017年月20万ウォン)を2018年に月25万ウォン(約2万5000円)に、2021年には月30万ウォンに引き上げると述べた。この公約は国政計画として確定し、昨年8兆1000億ウォン規模だった関連予算は今年9兆1200億ウォンへと1兆ウォン以上も増えた。政府は来年の基礎年金予算を今年より2兆3800億ウォンほど多い11兆5000億ウォン規模とした。政府・与党が「高齢者福祉をさらに強化する」として2021年に予定されていた「月30万ウォン」(所得下位20%台上)を来年に操り上げたからだ。

福祉分野の財政支出で代表的な基礎年金は支給額を引き上げなくても予算が雪だるま式に増えるしかない。韓国の高齢化ペースは世界最高レベルであるからだ。今年516万7000人の基礎年金受給者は2022年には628万5000人と100万人以上増えると予想される。

◆急増する福祉支出

先進国は高齢化時代に入ると、次々と福祉支出を減らしている。しかし韓国はむしろ急激に増やしている。今年の福祉分野の予算は144兆6000億ウォンと、昨年に比べて11.7%(15兆1000億ウォン)増えた。増加率、増加幅ともに過去最大で、支出総額(428兆8000億ウォン)の3分の1を初めて超えた。高齢化に伴って自動的に増える予算に基礎年金の引き上げ、基礎生活保障の拡大、児童手当支給、健康保険の強化など文大統領の公約履行予算が大幅に増加した結果だ。

来年の福祉支出は今年よりさらに大幅に増える見通しだ。政府は来年の福祉分野の予算として今年より12.1%(17兆6000億ウォン)多い162兆2000億ウォンを策定した。来年の支出総額(470兆5000億ウォン)の35%にのぼる。基礎年金の早期追加引き上げ、失業給与支給額および支給期間の拡大などによるものだ。福祉支出は来年以降も急増し、現政権任期の最終2022年には214兆3000億ウォンになると企画財政部は推算した。

政府は経済規模に対する福祉支出水準が先進国と比較して依然として低いため支出を増やすべきだと主張する。国別の国内総生産(GDP)に対する社会保障支出(SOCX)比率をみると、韓国は10.4%(2016年基準)と、経済協力開発機構(OECD)国家平均(21.0%)の半分ということだ。

問題は福祉支出の増加速度が世界最高レベルという点だ。2000-13年のOECD平均増加率は年平均1.2%であるのに対し、韓国は5.7%と4倍を超える。期間を2009-2013年に狭めると韓国は9.6%と、英国(4.0%)、フランス(3.4%)、ドイツ(2.4%)など欧州福祉先進国の最大5倍水準となる。

◆財政健全性の悪化を懸念

福祉支出の急激な増加は財政健全性の悪化につながる可能性が高い。2018-22年の政府財政運用計画によると、総収入から総支出を引いた管理財政収支は今年の-28兆5000億ウォンから2022年には-63兆ウォンに悪化する見通しだ。赤字を埋めるためには国債の発行を増やすしかない。これは国家債務の増加につながる。国家債務は今年の708兆2000億ウォン(GDP比39.5%)から2022年には897兆8000億ウォン(GDP比41.6%)に増えると推定される。

政府はGDP比40%前後の国家債務は管理可能な水準だと説明する。こうした楽観的な見通しは税収の好調に基づく。しかし経済活力と成長率が低下していく点を勘案すると、現政権の任期後半には税収が減る可能性を排除できないというのが専門家らの観測だ。

専門家は財政健全性が1997年の通貨危機、2008年の金融危機を乗り越えるうえで最も大きな力を発揮したと分析している。今後の危機に備えて財政健全性を維持するのは必須という指摘だ。

尹暢賢(ユン・チャンヒョン)ソウル市立大経営学部教授は「福祉支出は一度増やせば減らしにくい。政治的な誘惑から抜け出して福祉支出構造を完全に改革する必要がある」と述べた。