韓経:「現在の企業環境で第2のサムスン電子・現代車は生まれにくい」(2)

  • 2018年10月12日

--非正規職の正規職転換問題も論議を呼んでいる。

「非正規職勤労者をすべて同じ勤労者と見ることはできない。その中でも能力があって誠実な人は正規職に転換できるが、そうでない人まで一斉に転換することはできないはずだ。正規職への転換で新規採用を増やせないという悪循環が繰り返される理由だ」(尹氏はこの点で記者に「政治の本質を知っているか」と尋ねた)

--「政治」の本質は何だと考えているのか。

「人間は本能的に『豊かに、安らかに、安全に暮らすこと』を望む。なら、政治家の役割は国民が豊かで、安らかに、安全に暮らせるようにすることだ。ところが韓国の政治家は『票』を得ることに没頭している。政界が非正規職の正規職転換をずっと主張する理由だ。経済を発展させるのも、雇用を創出するのも、結局は企業だ。政治家はこうした現実を認めようとしないようだ。雇用を創出すると言いながら『反企業政策』を主張する」

--政府は労働時間の短縮を通じて雇用が増えると考えている。

「雇用は2つの側面で眺めなければいけない。経済が成長して個人と企業が創出する雇用と、公務員や公共機関など政府が作る雇用だ。前者が95%ならば後者は5%にすぎない。政府が雇用創出のために公共部門の雇用を増やすというが、これは経済体質の強化にはつながらず、国民の負担を増大させるだけだ。最近、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がSKハイニックス清州(チョンジュ)M15工場の竣工式に出席し、『雇用は企業がつくる』と述べた。正しい言葉だ。政府がもう少し早くから企業を後押しする動きを見せるべきだった。本当の意味の雇用創出は企業から生まれるからだ」

--雇用創出のためには中小企業が中堅企業、大企業に成長すべきだが、容易なことではないようだ。

「大企業になれば適用される規制が増えるため、中小・中堅企業人が会社を成長させないようにする。むしろ会社を分割したり家業の継承をあきらめたりする。相続税に対応できず会社を売ってしまう事例も増えている。韓国社会の貴重な資産が消えてしまう」(韓国の相続税の最高税率は50%。さらに大株主割増30%が追加されれば65%にのぼり、世界最高水準となる。『懲罰』レベルの最高税率のため家業の引き継ぎをあきらめる企業も増えている。中小企業中央会が今年、国内500の中小企業を対象に家業継承時の最も大きなジレンマについてアンケート調査をした結果、応答企業の67.8%が「相続、贈与税など租税負担」を選んだ)

--では、何が「革新成長」の要諦か。

「革新成長とは経済の主体である企業が革新を通じて事業を成長させることを意味する。技術革新を通じて新事業、新製品を作り、生産・マーケティング方式を革新し、以前の方式を打破して経営全般を革新して成長することだ。これを主導するのは結局、企業家精神だ」

--危機に直面した製造業を復興させるにはどんな戦略が必要か。

「資源が不足して市場規模も小さい韓国では、製造業が産業の主軸にならなければいけない。日本の『ものづくり』政策、米国の製造業復活政策のように政府が率先しなければいけない。海外に進出した企業の国内Uターン政策、技術開発に対する税制優遇など必要な支援も積極的に推進する必要がある。中堅企業を一つ育てるのにも20-30年かかる。中小・中堅製造企業の家業引き継ぎを支援するために譲渡税・相続税改編、差別議決権付与などを検討しなければいけない」

--今後、韓国に第2のサムスン電子、現代自動車が出てくるだろうか。

「サムスン電子が今の位置に来るまで50年の歳月がかかった。スタートアップ(新生ベンチャー企業)に期待しなければいけないが、各種規制に阻まれている経営環境を考慮すると、第2のサムスン電子や現代車が誕生するのは容易でないだろう」

▼尹鍾龍(ユン・ジョンヨン)氏の略歴

-1944年 慶尚北道霊泉(ヨンチョン)生まれ

-1962年 慶北師大付属高校卒業

-1966年 ソウル大電子工学科卒業、サムスングループ入社

-1990年 サムスン電子家電部門代表取締役

-1995年 サムスングループ日本本社社長

-1997年 サムスン電子代表取締役社長

-1999年 サムスン電子代表取締役副会長

-2004年 韓国工学翰林院会長、韓国電子産業振興会長

-2008年 サムスン電子常任顧問

-2011-15年 国家知識財産委員会民間委員長

-2004-17年 大邱(テグ)慶北科学技術院理事長

-現在 韓国工学教育認証院理事長