韓経:世界2位のエレベータ会社、韓国政府を相手にISD訴訟

  • 2018年7月20日

スイスの世界2位エレベータ製造会社のシンドラーが韓国政府を相手取り3000億ウォン(298億円)規模の投資家・国家間訴訟(ISD)を起こすための仲裁意向書を提出した。今年に入り、4月米国系ヘッジファンドのエリオット・マネジメント、6月メイソン・キャピタル・マネージメント、今月初め在米同胞のS氏に続いて4回目だ。

19日、韓国政府関係者は「シンドラーが3月から韓国政府を相手にISDに向けた紛争協議を要請し、最近仲裁意向書を提出した」とし「政府も対応する法律事務所(ローファーム)を選定中」と説明した。政府は、法務部が訴訟を主導して金融委員会が訴訟資料収集を受け持つよう役割を分担した。

現代エレベーターの持株15.87%を保有する第2株主であるシンドラーは、現代グループが2013年から2015年まで進めた有償増資を問題にしていることが分かった。当時の有償増資が「経営権防御」目的であるにもかかわらず、金融監督院がこれを受理したのは違法だとするものだ。政府は、この有償増資は合法的手続きを経たとし、玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)現代グループ会長ら現代エレベーター筆頭株主とシンドラー間の協議を通じ、ISDまで進まないことを希望している。2012年ローンスターが起こした5兆3000億ウォン(約5262億円)規模のISDなど敗訴の可能性に伴う国家賠償金負担が重くのしかかっているためだ。

シンドラーは韓国と欧州自由貿易連合(EFTA)間の自由貿易協定(FTA)に従って仲裁意向書の提出後、最大6カ月間の交渉期間を経た後、ISDを起こすことができる。

シンドラーのISD推進背景には、2011年から7年間続いてきた現代グループとの葛藤がある。シンドラーはこれまで5件の訴訟を現代グループに対して起こし、うち現在1件が進行中だ。

シンドラーは2004年当時、経営難に苦しんでいた現代グループに「救済者」役を自任しながら国内1位エレベータ会社の現代エレベーターに投資を始めた。持株を徐々に増やして持株率を2014年34%まで拡大させた。

しかし2011年から両社の関係が揺らぎ始めた。シンドラーが2011年の経営情報を獲得するために「理事会議事録閲覧許可申請」および「会計帳簿閲覧仮処分申請」等で提訴してからだ。財界ではシンドラーが現代エレベーターに対する「敵対的M&A(合併・買収)」を試みたとみている。2013年には現代エレベーターの969億ウォン規模有償増資が「支配株主(玄貞恩現代グループ会長)のグループ支配権を維持するために株主配分方式ではなく一般公募方式で行われていて不当だ」として新株発行禁止仮処分申請を提起した。だが、水原(スウォン)地裁驪州(ヨジュ)支院は「一般公募増資は法令に反しておらず、顕著に不公正な発行に該当しないため請求を棄却する」との判決を下した。

その後2014年1900億ウォン、2015年2700億ウォン規模で進めた有償増資でも第2株主として反対票を入れた。これは今回のISDの火種になった。シンドラー関係者は「法律上、有償増資は会社の新規事業と会社の運営資金を目的としなければならないが、2013~2015年の有償増資は『経営権強化』が目的だった」とし、当時、有償増資にブレーキをかけられなかった金融監督院に矛先を転じた。

シンドラーは2014年には玄貞恩会長ら経営陣を相手取り7180億ウォンの損害賠償訴訟を提起した。経営陣が無理に投資した現代商船基礎資産派生商品によって会社と株主が被害を受けたということだ。だが、2016年8月、水原地裁はシンドラーに敗訴判決を下し、現在2審が争われている。

政府はローンスターが起こした5兆3000億ウォン規模のISDで敗訴する可能性が高いうえ、今年に入ってエリオットとメイソンが起こした1兆ウォン規模のISDまで重なって賠償金準備が緊急となっている。世界3位エレベーター市場である韓国でエレベータ営業を拡大しようとするシンドラーも、ISD提起を通じて政府と半目するよりは現代エレベーターとの妥協点を探すだろうとの分析もある。