韓経:「愚かな研究はない…韓国の科学者はさらに果敢になるべき」

  • 2018年6月1日

蔚山(ウルサン)科学技術院特別教授のバルトシュ・グリズボウスキー(Bartosz Grzybowski)氏が「ストロング・コリアフォーラム2018」で特別講演をしている。

「ケマティカ(Chematica)を開発しながら『無駄な研究』だとどれだけ批判されたか。もし失敗を恐れていたら決して完成できなかったでしょう。」

基礎科学研究院(IBS)先端軟性物質研究団のグループリーダーで蔚山(ウルサン)科学技術院特別教授のバルトシュ・グリズボウスキー氏は31日、ソウルのミレニアムヒルトンホテルで開かれた「ストロング・コリアフォーラム2018」の特別講演でこのように語った。

グリズボウスキー氏は2012年「化学界のアルファ碁」と呼ばれる人工知能(AI)化学合成プログラム「ケマティカ」を開発し、学界を驚かせた化学者だ。2016年、ケマティカを開発した功労を認められ、ナノ技術分野で権威のある「ファインマン賞」を受賞した。

ケマティカは化学物質を自ら合成し、最適な経路を教えてくれるAIプログラムだ。1700年代から人間が蓄積してきたおよそ3万の化学物質合成法をすべて学習し、最適な合成法を人間よりはるかに速いスピードで計算する。ドイツの製薬会社、メルクはこのプログラムの可能性をみて、昨年開発会社であるGSIを買収した。GSIはグリズボウスキー氏が自身の名前をとって米国で立ち上げた会社だ。

彼は「AIを化学に適用することはチェスや囲碁よりはるかに難しい」と話した。次の置き場だけ考えれば良いチェスや囲碁と異なり、化学合成は分子の結合状態や3次元分子構造など、様々な変数を考慮しなければならないというのがグリズボウスキー氏の説明。

彼は「数多くの変数を考慮すると、簡単な化合物を合成する際も100の100乗の変数が現れる」として「多くの人がケマティカの開発に失敗したのも、極めて複雑な作業だったからだ」と話した。

グリズボウスキー氏はAIが製薬分野で革新を起こすと予想した。人間が開発した合成法の代わりにAIが開発した合成法を使えば、より一層効率的に薬品を生産できるとみているからだ。AIを使い、有名製薬会社の特許を迂回することもできる。

グリズボウスキー氏は「AIを活用すれば、従来に比べもっと効率的に、特許問題も避けられる合成法をたった10分でみつけることができた」として「これからは製薬分野で知的財産権(IP)の概念が完全に変わるだろう」と述べた。

AIが科学者を代替できるかという質問に対しては「決してそうにはならない」と断言した。新しい分野を切り開くことは結局人間にしかできないと強調した。

韓国科学界に苦言も呈した。「韓国の学生たちは知識を暗記しようとする傾向がある」として「AI時代には知識をただ暗記するよりは概念化するのが大事だ」と話した。彼は「韓国が数年前から基礎科学への投資を増やしているのは幸いだ」としながら「韓国の科学者が研究支援に後押しされ、新しい研究に積極的に挑戦してほしい」と述べた。