韓経:シンガポール賃金25ドルvs韓国65ドル…船舶受注決める造船業の生産性

  • 2018年5月17日

昨年12月、現代重工業、サムスン重工業、大宇造船海洋の韓国造船大手3社の見積もりチームは緊張に包まれた。シンガポールの海洋プラントメーカーであるセムコープマリンがノルウェーのスタートイルの浮体式石油生産・貯蔵・積出設備(FPSO)受注戦に参入し実現不可能な価格を提示したためだ。韓国の造船会社より8000万ドル安い4億9000万ドルを提示したセムコープマリンは結局受注契約を獲得した。

◇下がり続ける原価競争力

韓国の造船業界は衝撃を受けた。大型海洋プラントは韓国造船大手3社だけの独擅場だった。名前すら知られていないセムコープマリンに受注契約を奪われると造船3社はあたふたと原価の見直しに入った。検討結果はさらに衝撃的だった。韓国の造船会社にセムコープマリンが提示した価格水準に合わせる方法がないという結論が出てきた。

問題は人件費だった。セムコープマリンの労働者の賃金(保険料、退職給与など含めた会社支給額基準)は1時間当たり25ドルなのに対し、韓国は2.6倍多い65ドルに達した。シンガポールの国民所得は昨年基準で5万3053ドルと韓国の2万7097ドルより2倍近く高いが、人件費が低い東南アジアの労働者を受け入れ原価競争力で韓国を追い抜いた。

韓国の製造業が「賃金の逆襲」におびえている。かつては韓国の製造業の武器だった人件費がいまでは逆に韓国の製造業の足を引っ張っているという指摘だ。高賃金・低効率構造がきのうやきょうのことではないとの反論もあるが、最近の状況は過去より明らかに深刻だという懸念が出ている。単純に投入される費用が増え利益が減る水準ではないという理由からだ。高賃金・低効率構造のためにつかみかけていた契約を取り逃し、企業の生死が不透明になる状況が繰り返されている。

造船産業は中国とシンガポールなど後発走者にほとんど追いつかれたというのが業界の見方だ。過去にはばら積み船のような低付加価値船舶市場を明け渡すのにとどまっていたが、最近では超大型コンテナ船やタンカーなど高付加価値船舶市場の事情も似ていると指摘される。

◇賃金は高いが生産性は低い

自動車産業の事情も似ている。韓国GMの経営が悪化した理由を見れば結局高費用・低効率構造のためという分析が出てくる。韓国GM群山(クンサン)工場は閉鎖される直前の稼動率が20%にすぎなかった。1カ月のうちまともに勤務する日は1週間に満たなかったという意味だ。だが会社は生産ラインが止まった日にも労働者に賃金の80%を支給しなければならなかった。自動車販売台数が毎年減っても年俸は毎年3~4%増えた。

現代・起亜自動車もやはり高費用・低効率の罠にはまった。昨年現代自動車と起亜自動車の社員の平均年俸はそれぞれ9200万ウォンと9300万ウォンに達した。現代自動車の韓国工場の売り上げに対する人件費の割合は2005年の10%水準から昨年は15%水準に跳ね上がった。競合会社であるトヨタやフォルクスワーゲンの売り上げ比人件費比率より5~7ポイント高い。稼ぐ金額に比べ支出する人件費が多いという意味だ。

経済界関係者は「造船と自動車だけでなく韓国の製造業全体が高賃金・低効率構造に窒息しかねない」と懸念する。