韓経:【コラム】韓国経済「ゼロ成長」のシナリオ

  • 2018年2月23日

国際通貨基金(IMF)が韓国の潜在成長率が2030年代以後は年間平均1%台に落ちると予測したのは今回が初めてではない。それよりも、韓国の実質国内総生産(GDP)増加率が昨年3.2%をピークにことし(3.0%)から2022年(2.6%)まで毎年0.1%ずつ下がるという予測が目を引く。これが正しければ文在寅(ムン・ジェイン)政府は5年を通して、成長率が下り坂を歩むことになる。

もちろんIMFはその理由を指摘した。サービス生産性の低下、労働市場のわい曲、急速な高齢化などだ。特に目新しいということはない。ここで1つ疑問が出てくる。「それでは文在寅政府が訴える第4次産業革命は成長に何の助けもならないということか」。

この疑問を解消する報告書が出てきた。エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は「機械学習の経済的影響に関するシナリオ」(2018)で人工知能(AI)が分析対象国の成長率に及ぼす影響をシナリオ別に分類した。①AIとの補完性のための教育・訓練など生産性向上、人的資本の高度化などへ進む場合、②革新のための資本投資を増やしてデータ規制を緩和する場合、③は、前の①と②でいずれも「政策失敗」が起きた場合だ。

EIUは2016~2030年の韓国の年間平均成長率基準値を1.78%と推定した後、成長率がシナリオ①2.07%、②3.0%、そして③0.02%に変わることができると見通した。韓国は今、どこへ向かっているだろうか。

文在寅政府は2番目のシナリオを言いたいだろう。「だから革新成長をしようというのではないのか」と言いながら。過去の開発連帯式企画が身についた企画財政部が革新成長を主導するナンセンスはさておき、革新の拡散はおろか投資の壁さえ越えることができない新技術分野がざらにある。

データ規制だけ見てもそうだ。仮にも第4次産業革命委員会ならばデータ開放、個人情報保護規制緩和を叫んでも不十分な時に、市民団体が怖いのか「欧州式規制」云々と言っている。データ産業で米国に敗北している欧州がなぜ韓国のモデルでなければならないのか分からない。しかも大企業と言えばまず批判から始める市民団体がデータ・スタートアップ(新生ベンチャー企業)出現を防ぐ規制を擁護するのも自己矛盾している。

韓国は最初のシナリオからも遠ざかっている。当面の雇用中心、人為的な所得格差の縮小を掲げた所得主導成長が新しい人的資本蓄積のための教育・訓練投資を後まわしに押し出す局面だ。だとすれば韓国に残されたのは3つ目のシナリオ、事実上の「ゼロ成長」だけだ。

エコノミックス・オブ・イノベーション・アンド・ニューテクノロジー(Economics of Innovation and New Technology)ジャーナル最新号は「経済成長で革新と不平等の影響」という論文を紹介している。『進化ゲームと貧困のわな(Evolutionary Games and Poverty Traps)』で有名なエドガー・J・サンチェス・カレラなど、論文の著者は「革新投資は『既得権の抵抗』という敷居を越えてこそ成長率を引き上げ、所得の不平等も改善することができる」と話す。既得権の抵抗が激しい韓国を考えれば、すぐ納得が行く。

既存の雇用を死守しようとしながら革新に反対して研究開発・人的資本投資などを先送りすれば国家が「貧困のわな」に陥ることになるという発見も意味深長だ。革新を通した良い「未来雇用」より脅威を受ける「現在の雇用」に執着する文在寅政府は分かりやすく解釈するに値する。

「すぐ目に見える雇用中心」、「正体も不明な所得主導成長」、「勝者を潜在的犯罪者扱いする公正経済」、「優先順位で押されて規制改革意志も見えない革新成長」等はゼロ成長だけ操り上げるばかりだ。どたばた式、相互矛盾的経済戦略ははやく整備したほうが良い。文在寅政府が今からでも「革新投資・人的資本主導経済」に進めば機会はある。