韓経:「判事罷免」「国家代表資格剥奪」…「人民裁判場」になった青瓦台掲示板

  • 2018年2月21日

青瓦台(チョンワデ、大統領府)が運営している国民請願制度が、あふれる「人民裁判式」要求に頭を悩ませている。李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長の裁判を担当した判事を罷免してほしいという請求に20万人以上が同意し、20日に青瓦台が回答を出した。同日平昌(ピョンチャン)冬季五輪に出場した国家代表選手の資格を剥奪してほしいという請願が上げられてから1日もたたずに青瓦台の回答基準である20万人以上を突破した。国民の声を聞くという趣旨で始めた請願制度が主観的で集団的な不満を表出する「世論裁判の場」に転落していると指摘される。政派的な組み分けが横行し民主体制の基本である三権分立まで脅かす非常識な要求が危険水位に到達したという声が出ている。

◇判決気に入らないと罷免世論あおる

チョン・ヘスン青瓦台ニューメディア秘書官はこの日青瓦台ホームページとフェイスブックなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にキム・ソン行政官とともに行った「青瓦台ソーシャルライブ」の動画を上げた。先日の李副会長の贈収賄罪控訴審で執行猶予を宣告したチョン・ヒョンシク判事を罷免したり特別監査してほしいという国民請願に答える席だった。24万人以上が提起したこの請願に対しチョン秘書官は「青瓦台にそのような権限はない。罷免を可能にするなら職務執行で憲法や法律違反事由がなければならず、事由が認められても国会に渡して弾劾訴追がなされなければならない」と答えた。

全体的に裁判官の不正事実があるならば懲戒は可能だが、これは司法府の権限という趣旨だった。だがチョン秘書官は不適切な蛇足をつけた。「請願内容に対し青瓦台は法院行政処にこうした内容を伝達する予定」という部分だ。聞き方によっては裁判所に人事措置を要求するメッセージとも解釈できる。ある現職部長判事は「青瓦台が関連内容を法院行政処に伝達すれば、これは『青瓦台ブラックリスト』を指定する格好だ」と懸念する。

◇平昌五輪「国家代表」剥奪請願も

平昌五輪関連問題も請願掲示板を人民裁判の場にしたとの批判を受けている。国家代表選手らがやり玉に挙げられた。19日に江陵(カンヌン)スピードスケート競技場で開かれたスピードスケート女子団体パシュート準々決勝に出場した韓国国家代表チーム(キム・ボルム、ノ・ソニョン、パク・ジウ)の試合のためだ。青瓦台国民請願掲示板には20日「キム・ボルム、ノ・ソニョン、パク・ジウ選手の資格剥奪と積弊スケート連盟の厳重処罰を請願します」という題名の請願が上げられた。ノ選手が試合中に遅れを取ったのに他の2選手がチームプレーをしなかったという理由からだ。

この請願は1日で37万人余りが参加し最短記録を塗り替えた。非難世論を受けキム選手を後援していたアパレルメーカーのネパが28日以降の契約延長をしないと発表し人民裁判の効果を発揮した様相だ。

過度な批判世論が起きるとすぐに「恐くて国家代表ができるか」と反対意見を明らかにしたスピードスケートのチャン・スジ選手もターゲットになった。「国民が恐くて国家代表ができるかというチャン・スジ選手の願いを聞いてほしい」という国家代表資格剥奪請願が青瓦台掲示板にすぐに上げられた。

◇「政治的悪用時には人民裁判に転落」の懸念

政治的な悪用事例も目撃される。北朝鮮との合同チーム結成に反対するという内容の書簡を国際五輪委員会(IOC)に伝えたナ・ギョンウォン議員(平昌五輪組織委員会委員)の委員資格剥奪を要求する請願がそうした部類だ。委員職剥奪は青瓦台の権限外だ。それでも「不快だった」という理由で請願が上げられた。合同チーム支持者が集まり36万人以上が同調した。

青瓦台は請願制度を国民とコミュニケーションする広報手段として積極的に活用する姿だ。だが世論裁判をあおっているのではないかという批判の声は少なくない。青瓦台は20日にホームページのメイン画面に「チョン・ヒョンシク判事罷免と特別請願」を大きく表示し動画で説明までした。20万人の基準を超えた請願のうち答えていない事例が多い状況で急いで答えたことが呼応のメッセージと読み取れるとも指摘される。

請願制度は国民の声を聞くという「善意」に基づいただけで法的根拠はない。ほとんどの請願が「不発」に終わる理由だ。青瓦台が選別的に過度に対応する形態を自制しなければならないという指摘は多い。