韓経:【コラム】おかしな「ロボット国家」の話=韓国

  • 2018年2月2日

「労働市場を単純に見た側面がある」。国民経済諮問会議の金廣斗(キム・クァンドゥ)副議長は韓国工学翰林院の新年フォーラムで最低賃金の余波に関する質問が出ると、こう答えた。青瓦台(チョンワデ、大統領府)の雇用状況に赤信号が灯った形だ。主な研究機関が一斉にことしの韓国の雇用市場は灰色になるだろうという見通しを出した。投資不振のためだというが、本当の理由は隠しているようだ。文在寅(ムン・ジェイン)政府が違う経済政策との調和を無視したまま、労働界の要求のとおり公約をむやみに施行しながら起きている「労働政策の失敗」のことだ。

すべての非正規職の正規職化は結局、雇用総量の減少を産むことになるというのが労働専門家の告白だ。非正規職が正規職化でなくともロボット化、オフショアリング(海外移転)、アウトソーシングなど代替できるルートが多いという理由からだ。更に勤労時間の短縮は人間でなくロボットの仕事の創出につながるという最近の研究だけでなく、経済全般に「過負荷」を招いている急激な最低賃金の引き上げ騒動により雇用の減少を避けられないだろうという分析も加わる。雇用政府のアイデンティティが何なのか混乱する。

「韓国版所得主導成長論」が出てきた背景はもっともらしい。高齢化で生産可能人口が減り、資本が過剰な状態で労働生産性を高め、人的資本投資を増やさなければならないというところまでは良い。だが、その手段がなぜ「親労働政策」という名で急激な賃金引き上げ、労働規制、経済民主化などでなければならないのか、明確な因果関係が分からない。

韓国の製造業はすでに産業用ロボット使用率で世界1位を走っている。2015年基準で米国、日本、ドイツ、英国、オランダなど主要国の総投資率(総固定資本/GDP)、雇用率などと比較すると韓国は総投資率は非常に高くて雇用率は低い特異な国家だ。過去の経路を回想してみれば、これが経済政策でも資本のせいばかりにはし難い。

韓国経済は1980年代末、1990年代初めに労働争議が頻発する中で、1人当りの人件費が急騰し、製造業売り上げに対する人件費の比重が異例的に高まった時があった。この期間に生産自動化など資本装備率が急騰した。更に中国の労働集約的産業蚕食まで加わり、製造業から退出した人材の自営業進出が増えた。以後、労働界には所得分配の悪化問題が浮上したが実は労使不安が自ら招いた側面がある。

同じような状況がまた繰り返されることはないとは言えない。文在寅政府の所得主導成長論は所得の分配率を高めるために規制を動員しても、ひとまず賃金を引き上げてみようという。彼らの主張のとおり資本の価格が安い資本過剰状態で賃金を急激に引き上げるならば労働節約的ロボット化は更に加速することは目に見えている。

ロボット化だと言っても、すべてが同じロボット化ではない。先進国のロボット化は雇用創出を伴う「革新型」で行っている。韓国開発研究院のキム・ジュフン首席エコノミストが分析した主要国雇用率の推移によればドイツは2005年65.5%から2015年74.0%に急騰した。ドイツの雇用率増加の背景には注目すべき部分がある。高いソフトウェア(SW)人材の需要だ。ロボットなど新産業のための知識と革新投資が新しい人的資本需要を産んでいる。このような分野は青年就職増加率も高い。

一方、韓国の雇用率は2005年63.7%から2015年65.7%と60%台で回っている。「労働規制回避型」、「費用削減型」ロボット化の限界をそのまま見せる。雇用が除外されたロボット化ということだ。韓国とドイツで同じスマートファクトリーをしても雇用効果が大きく異なるだろうという理由もここにある。

それでも希望的な部分があるとすれば、韓国でも2010年以降、製造業、新産業などで企業がSWなどを中心に雇用を増やしているという点だ。資本と労働間の敵対関係を前提とした労働規制がその芽まで摘んでしまわないか心配だ。

いくら考えても今の所得主導成長論はおかしなロボット国家を催促する運命だ。