韓経:【コラム】中国の夢、日本の夢

  • 2018年1月11日

中国の最高指導者習近平の国政スローガンである「中国夢」には「5000年の歴史の遺産を集大成し真の強国を完成する」という悲願が込められている。概ねこのような内容だ。

「中国が歴史上最も強かったのは漢の時代だ。文化的に最も隆盛し経済的に富強な時は唐の時代だった。この時代に陸上シルクロードを通じてローマ帝国まで交易ネットワークを構築した。中国が劣勢を免れない海で一時だけでも世界的に最も強かった時がある。鄭和提督の艦隊がアフリカまで進出した明の永楽帝時代だった。そんな漢、唐、明の永楽帝時代の地位をまとめて取り戻し中華民族の偉大な復興を成し遂げよう」。ところが「偉大な復興」というスローガンは国民を熱狂させ国力を結集するのには間延びした感がある。そこで出したスローガンが「中国夢」だ。

習近平はビジョン提示にとどまらなかった。ビジョンを実現する国家経営戦略も出した。「一帯一路」だ。陸上シルクロードと海上シルクロードを通じて経済・外交・文化・軍事など各分野で最強大国としての地位を取り戻すということだ。中国はそうしたビジョンと戦略をじわじわと実行に移している。大陸(一帯)を通じて中央アジア、西アジア、中東、欧州に波が押し寄せるように進出し、大洋(一路)を通じて東南アジア、西南アジア、アフリカ、中南米に勢力を広げている。「世界経営」を後押しする資金源としてアジアインフラ投資銀行(AIIB)も設立した。

習近平の中国夢はこのように具体的で現実的だ。伝統製造業分野では米国、欧州、日本、韓国に遅れを取ったが、人工知能(AI)など未来産業分野では世界を先導するという野心あふれる目標を立てた。2030年までにAI分野で世界最強国に上るのを目標に北京郊外に大規模AI研究団地造成に入った。先月31日に新年辞を発表した習近平の執務室の書架には『マスターアルゴリズム』と『拡張現実』という題名のAI関連書籍が置かれており外信の注目を浴びた。

習近平と中国の「夢」はひとつふたつと実を結んでいる。AIを支えるシステム半導体、二次電池、次世代ディスプレイなどで世界1位の輸出国に上り詰めた。昨年米MITが選定した50大グローバル革新企業リストに中国企業7社が名前を上げた。韓国は1社もなかった。9日に米ラスベガスで開幕した世界最大の家電見本市「CES2018」は「中国企業が占領した」という報道が相次いだ。中国の参加企業数が1379社で全参加企業3900社余りの3分の1を超えた。中国のインターネット企業バイドゥが会場で開いた行事には世界の企業代表が駆けつけた。バイドゥ副会長はマイクロソフト、クアルコム、ボッシュなどとのAI提携プログラムを紹介し、「中国はAI産業の核心である資本、市場、技術、政策をすべて持っている。いまから世界のAI革新を『中国の速度(China speed)』で引っ張って行く」と宣言した。

「よく中国が韓国を速いスピードで追撃しているという。笑わせる話だ。韓国を追撃対象と考えているというのは韓国の錯覚だ。中国は自分の道を行っているだけだ。韓国だけが道を見つけられずあわてている」。金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時に経済首長を務めた元老の嘆きだ。

中国だけが自分の道を行っているのではない。習近平(2012年11月)より1カ月遅れて執権した日本の安倍晋三首相も初めての新年辞で「強い日本を取り戻さなければならない」という誓いとともに「速度感」と「実践力」を強調した。実行課題として果敢な規制廃止を実践したおかげで2015年の1年間だけで724社の企業が海外から帰ってきた。そのおかげで昨年日本の製造業の雇用は7年ぶりに1000万件を突破した。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領はきのうの新年記者会見で「国民の平凡な日常を守り良くなるようにするのが新年の目標」と述べた。胸を暖かくする言葉だ。しかしどこか寂しく物足りなさも残る。国民すべての心を集め、ときめかせ、未来に向かって靴ひもを締め直させる胸が熱くなるビジョンとスローガンはないだろうか。みんなが一緒に夢見て叶えていく「大韓民国の夢」が懐かしい。