韓経:「低成長・二極化の泥沼に落ちた韓国…突破口は『経済的自由』の拡大」

  • 2017年12月28日

ソウル大学経済学部のイ・ヨンフン名誉教授(写真左)、 東国(トングク)大学法学科のキム・サンギョム教授

新制度主義経済学の先駆者としてノーベル経済学賞を受賞したダグラス・ノース米ワシントン大学教授は、なぜある国は裕福で、ある国は貧しいのかに対する解答を「制度」から求めた。経済的自由と財産を保護する制度を備えた国は繁栄するのに対し、そうではない国は窮乏から抜け出せないと彼は結論を出した。やはりノーベル経済学賞受賞者であるミルトン・フリードマンは著書『資本主義と自由』で、経済的自由は政治的自由を成し遂げるための必要不可欠な手段だと力説した。

制憲70年を迎えて改憲議論が熱い中で多くの専門家が経済的自由を拡大する改憲をしなければならないと主張する理由だ。韓国の代表的な経済史学者であるソウル大学経済学部のイ・ヨンフン名誉教授と憲法学者である東国(トングク)大学法学科のキム・サンギョム教授は韓国経済新聞とのインタビューで「政府の市場介入を減らし個人と企業の自由な経済活動を保障できるよう憲法を改正しなければならない」と声をそろえて強調した。

◇「国の介入明文化条項削除しなければ」

イ教授は「経済は基本的に個人間の自由な交換が行われる私的領域。経済に対する国の介入を明文化した憲法第9章の経済条項はすべて削除すべき」と話した。「国が全てのことをすべきという国家主義的発想から抜け出さなければならない」ということだ。政界と市民団体を中心になされる経済民主化強化議論に向けた全面的な反論だ。「国民の暮らしに責任を負う」という基調を標榜している文在寅(ムン・ジェイン)政権もやはりこうした批判から自由になれないというのがイ教授の指摘だ。

イ教授は「韓国は世界的に最も強い水準の企業規制をする国だが、これは経済民主化条項を通じ政府が市場に介入する道を開いているため」と指摘した。彼は「経済民主化強化は反市場的・反企業的感情に基づいて社会主義に進む道」と強く批判した。

続けて「富を搾取の結果と、企業を貪欲の所産と見る視角が経済民主化強化の主張につながっている。資本家の投資と蓄積なくして国が豊かになることはできず、企業は企業家と従業員間の信頼と協力を通じて運営されるもの」と強調した。不平等と二極化が経済民主化強化議論の背景という指摘には、「憲法に規定しなくても経済主体間の不均衡を改善する政策を展開することはできる」とした。

イ教授はまた「国よりさらに重要なのは個人の自由」と強調した。国家権力に対抗し個人の自由と権利を保障するためのものが憲法という説明だ。そして「憲法が国民個人個人を自由人と規定する限り、それに対応する経済体制は自由市場経済になるのが当然だ」と話した。

憲法上の財産権条項も私有財産の権利をさらに確実に保障する方向に変えなければならないと主張した。憲法第23条第1項は「すべての国民の財産権は保障される。その内容と限界は法律で定める」と規定している。引き続き第2項には「財産権の行使は公共の福利に適合するようにしなければならない」とされている。これと関連してイ教授は「財産権を絶対的権利ではなく相対的権利と規定した。国が国民の財産を任意に奪っても公共の福利という名目で正当化できる非常に強い制約を加えている」と指摘した。イ教授は「財産権の自由は身体の自由とともに自由の最も重要な本質。自由人が自ら努力して取得した財貨は国としても任意に奪取できない絶対的権利ということが西欧で発達した近代憲法の精神」と強調した。彼は「経済的自由を拡大し政府の介入を縮小する世界的潮流について行かなければ低成長と雇用不足など韓国経済は当面の問題を解決できない」と懸念する。

◇「経済民主化も市場経済に基盤置かなければ」

キム教授は「憲法上の経済民主化条項は不公正を解消しようという趣旨を含んでいるが、自由は公正に優先する価値」と話した。キム教授は「経済民主化はあくまでも自由市場経済を基本として公正な競争秩序を用意しようということであり、国が市場に直接介入しろという意味ではない」としてこのように説明した。

キム教授は弱者に配慮する意味から経済民主化を解釈するのも無理があると指摘した。彼は「社会的弱者に対する配慮は憲法上の経済条項ではなく社会権条項に出てくる内容。貧困層などのための政策は国民の基本権保障次元ですべきことであり、市場経済秩序を犠牲にしながらすべきことではない」と話した。

憲法上の平等の意味も「同じものは同じに、違うものは違うようにすることであり、すべてのものを同じにすることではない」と強調した。そうした意味で福祉政策も国の財政が耐えられ市場経済原理を害しない線で施行しなければならないと指摘した。キム教授は「無償福祉と言ってもその財源は国民の財布から出る。税金でする福祉政策を無償と言うのは国民を欺瞞すること」と批判した。

公務員の労働3権を保障しようという主張と関連しては「そうするならば職業公務員制からなくさなければならない」と指摘した。憲法で公務員の身分を保障しているが労働3権まで認めることはできないという説明だ。キム教授は「ドイツも職業公務員は労働3権を保証されておらず、賃金交渉も労組総連盟傘下の公務員委員会を通じて間接的にする。職業公務員制と労働3権は一緒に行くことはできない」と説明した。

キム教授は「韓国は米国、欧州と違い君主と貴族に対抗した市民階級を形成できないまま近代化を経験した。改憲を先進国へ跳躍する動力にするには国民個人個人の責任意識と法治に対する認識もともに成長しなければならない」と話した。