韓経:ロッテのTHAAD被害2兆ウォン…企業にとって国とは何なのか

  • 2017年12月14日

ロッテのTHAAD被害2兆ウォン…企業にとって国とは何なのか

文在寅(ムン・ジェイン)大統領が中国に行った。高高度防衛ミサイル(THAAD)問題で歪んだ両国関係を正常化したいと言った。ここでただやり過ごすわけにはいかない企業が登場する。ロッテだ。THAADの最大の被害者だがだれも目を向けない企業。ロッテの悪夢は昨年4月に始まった。

2016年4月13日。国会議員選挙で与党が惨敗した。政局の主導権は野党に渡った。与党内部で破裂音が出てきた。韓国政府は危機に陥った。民心の向きを変えるスケープゴートが必要だという声が聞こえ始めた。

偶然だっただろうか。「兄弟の乱」を経験したロッテに検察200人余りが押しかけた。専門家らは「国民の心を得られなかったのがロッテの弱い部分だった」とした。しばらく政治的話題はロッテに埋もれてしまった。3カ月後に韓国政府はTHAAD用地をロッテのゴルフ場に決めた。

ロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン)会長は悩んだ。国家安保のために土地を提供するのは義務だと確信した。だがその代価は中国市場をあきらめるということだった。韓国政府にゴルフ場用地を他の土地と交換せずに「収容してほしい」と求めた。「仕方がなかった」と中国に説明する根拠でもほしいという泣訴だった。政府は拒否した。昨年12月のことだ。

1年が過ぎた。ロッテの状況は惨憺たるものだ。中国からほとんど追い出される状況だ。中国ロッテマートは売りに出した。百貨店事業は赤字の連続だ。政権が替わってから何か変わることを期待した。変わりはした。中国は韓国観光禁止を解除した。だが「ロッテ免税店とロッテホテルはだめだ」と釘を刺した。今年ロッテがTHAADによって受けた金銭的損失だけで2兆ウォンに達する。世界1位になろうとしていたロッテ免税店は夢をあきらめる直前だ。それでもロッテは何も言えない。

状況はさらに悪化した。辛会長は近く経営不正関連の宣告を受ける。一寸先も見通しにくい。政府は見ていないふりをする。「くやしいのはわかるが前政権で起きたこと」という形だ。ある元閣僚は「政治的・行政的無責任の極致。政権は交替したが政府は連続性を持っているということから目をそらしている」と話した。

米国は企業が不利益な目に遭えば政府が乗り出す。あらゆる手段を動員して圧迫する。欧州の国は企業を保護するために訴訟も辞さない。「韓国で国とは、政府とは、企業にどのような存在だろうか」という疑問を投げかけられる部分だ。

文大統領は前政権のことを代わりに謝罪することもためらわない。そうした面でロッテに対する沈黙は理解しがたい。企業に目こぼしするのではなく誤った政治と行政を正すことであるためだ。文大統領が中国でどんな話をするのか気になるところだ。