韓経:【コラム】企業を海外に追い出す「韓国労働市場の硬直性」

  • 2017年11月22日

多くの専門家が未来の韓国の雇用不足を心配している。正規職と労働組合に対する過保護、倒産直前まで解雇をほとんど不可能にした労働関連法と制度の硬直性などに解消の兆しが見えないからだ。文在寅(ムン・ジェイン)政権の労働政策は意図とは違い、正規職・労組・大企業勤労者の既得権をさらに強化する方向に向かっているという声も出ている。

企業が景気変動と市場状況に対応するには人員調整は避けられない側面がある。しかしどの企業も解雇を伴う先制的なリストラをできないのが現実だ。人員の配置・転換も労組との協議なしには不可能だ。超過・休日勤労に対する過度な補償、例年のストライキで得る高額の賃上げもすべて正規職員の手に入る。

状況がこうであるにもかかわらず、非正規職問題を解決するとして労働市場の規制を強化し、非正規職を一斉に正規職化する動きを見せ、労働者間の葛藤まで生じている。

韓国GM昌原(チャンウォン)工場で非正規職の職場に正規職を投入すると非正規職の労組が反発したり、仁川(インチョン)空港公社の正規職労組が現在推進中の正規職化方式に問題を提起したのはすべて似た様相だ。

パリバゲット店の製パン技師も「本社の正規職採用」を主張する全国民主労働組合総連盟(民主労総)所属の労組員と距離を置き始めた。製パン技師全員が本社の正規職になれば加盟店主が雇用を避けるという懸念からだ。

非正規職保護という政策目標を達成するには、正規職や労組に対する過保護をやめ、労働市場の柔軟性(flexibility)を高めるものの、社会のセーフティーネット拡充などで安定性(security)も同時に強化することが何よりも重要だ。

柔軟性を高めるには正規職労組だけが二重三重の恩恵を受ける労働関係法制を改革し、社会のセーフティーネットを拡充するなどの総合的でバランスの取れた対策を準備する必要がある。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権がオランダモデルに目を向けて「柔軟安定性(flexicurity)」を強調した理由だ。企業内部の柔軟性が脆弱な状況で▼通常賃金▼勤労時間短縮▼最低賃金--など労働コストを急激に上昇させる要因までが重なっている。

億ウォン台の年俸を受ける一部の労組が労働権保護というカーテンに隠れて毎年ストライキをするという点も指摘されている。金容根(キム・ヨングン)韓国自動車産業協会会長は労働法で毎年義務化している賃金団体交渉だけでも3-4年に1回ずつ変えられるようにしてほしいと要求した。賃金団体交渉を毎年義務化した労働法が毎年ストライキを招き、毎年年俸が自動的に上がる年俸制とストライキを通じた賃金上昇が重なり、韓国自動車産業を危機に追い込んでいるということだ。

海外に出た企業が戻ってくる米国や日本のリショアリングは遠い国の話として聞こえる。雇用が脅かされれば、先に失業者となる階層は非正規職・無労組・協力会社所属の勤労者だ。

チェ・ジョンソク/労働専門委員