韓経:「FRB利上げ誤り」論争…ウォン・ドル相場への影響は?

  • 2017年11月20日

今月中旬以降米国国債の長短期金利間「利回り曲線」の平準化現象が再現されており、その意味と解釈をめぐる論争が加熱している。先週末に10年物利回りは年2.34%台に落ちたのに対し、2年物利回りは1.72%台まで上がり、その格差は62bp(1bp=0.01ポイント)と2007年11月から10年ぶりの最低水準に減った。

長短期金利差が減った最大の要因は米連邦準備制度理事会(FRB)の金利引き上げだ。今年に入り3月と6月に金利を引き上げたFRBは12月にももう1度上げる案を既定事実化している。金融危機後に米国の金利体系が乱れたと言っても政策金利を引き上げれば最小限2年物国債利回りは敏感に反応する。

これに対し長期債利回りが下落したのはトランプ大統領のロシア内通説などで投資家の安全資産を望む傾向が高まり長期債需要が急増しているためだ。恐怖指数と呼ばれるVIX指数は今月に入り40%以上急騰した。短期債発行(従来は保有短期債売り)を増やして長期債を買う「変形したツイストオペレーション(OT)」政策も原因だ。

「流動性プレミアム理論」「期待仮説」「分割市場理論」によると利回り曲線が陽(+)の傾きを示せば投資に有利な環境が続くものと予想し景気が回復されるものと受け止められる。反対に利回りが逆転して陰(-)の傾きを示せば借入費用増加で景気が沈滞局面に入り込む可能性が高いという意味だ。

米国景気が4-6月期以降3%台の成長を見せているが持続の可能性が疑われるのもこのためだ。ハーバード大学のラリー・サマーズ教授は「近く米国経済が『構造的長期沈滞(secular stagnation hypothesis)』に陥るだろう」と警告した。フィラデルフィア連邦銀行のパトリック・ハーカー総裁も「長期金利がとても低いのが問題」と懸念する。

FRBのフレデリック・ミシュキン氏らの研究によると長短期金利利回りスプレッドが最も成功的な景気予測モデルと現れた。特に長短期金利差の「水準(level)」が「変化(change)」より予測力がさらに高いと評価された。ニューヨーク連邦銀行も長短期金利差は実体景気先行性を判断する有用な指標で4~6四半期先行するものと推定した。

1970年代以降長短期金利差がマイナス、すなわち短高長低現象を見せた場合、例外なく景気低迷が伴った。このためウォーレン・バフェットはニューヨーク連邦銀行が毎月確率モデルを利用して発表する長短期金利差の景気予測力を投資判断の際(特に株式売却のタイミング捕捉時)に最も多く活用してきたという。

「FRBのエラー(FRB’s or Ellen’s error)」が指摘されるのは自然な現象だ。FRB内の親トランプ派を中心に「物価が低い環境で今年3回(12月分含む)金利を上げるのが果たして適切なのか」という指摘とともに「ジャネット・イエレン議長が通貨政策のものさしとしているフィリップス曲線が平準化される環境では金利を上げないことがむしろ正しい判断ではないか」という批判が出ている。

イエレン議長の意見は違う。景気予測モデルで長短期金利差は通貨政策の管轄範囲が実体経済に限定(グリーンスパンドクトリン)されている時だけ意味があると反論する。金融危機以降通貨政策管轄範囲を資産市場まで拡大(バーナンキドクトリン)して推進しているため景気予測モデルとしての長短期金利差はその意味が大きく色あせたと主張する。

FRBの価値モデル(FVM=12カ月先行利益率÷10年物国債利回り)で現在の株価水準を評価してみると金融危機以前の水準に到達した。不動産価格は金融危機以前よりさらに上がった。景気予測力がどれだけ高いのかと関係なく長短期金利差が縮小されることにウォール街と米国の不動産業界が敏感に反応するのはこうした理由からだ。

景気が完全でない環境で金利引き上げと資産売却を推進するのは性急な出口戦略と同一の意味を持つ。1930年代にも当時FRB議長だったマリネア・エクルズが性急な出口戦略を推進して大恐慌を引き起こす失敗を犯したことがある。来年2月ジェローム・パウエル時代を迎えればFRBの通貨政策に変化がある可能性が暗示される。

ついにはウォン・ドル相場のマジノ線と考えられてきた1ドル=1100ウォンが崩壊した。米国の金利引き上げ後にすべての金融会社がドル高を予想してドル買いを推薦してきた。だが、グリーンスパンの謎(金利引き上げでも市場金利下落)などの理由を挙げ「ドル安」になる可能性が高いと指摘してきた。米国の金利引き上げが誤りならばウォン・ドル相場にはどのような影響を及ぼすのか、ドル購入者は念入りにチェックしなければならない時だ。