韓経:「所得主導成長」に国民年金動員を公式化…「越権」の声も=韓国(1)

  • 2017年7月19日

「国民年金の公共部門投資は未来の世代のための投資だ。公的年金基金の公共・社会的役割強化に対する検討が必要な時期だ」。朴凌厚(パク・ヌンフ)保健福祉部長官候補が17日に国会人事聴聞会に提出した書面答弁の内容だ。通常は国の財源で行う公共投資に国民年金が動員されるのは望ましいのかと問う金相勲(キム・サンフン)、尹種畢(ユン・ジョンピル)議員の質問に対する返答だった。国民年金の主務部処が福祉部という点で朴候補の発言には重みがある。朴候補は「保育、賃貸住宅など公共部門への投資は出生率と雇用率の向上効果とともに年金の持続可能性にも寄与し、長期的に収益率が高い、低いと断定できないとみる」という主張もした。

「国民年金に多数の国民の老後がかかっているだけに、赤字が懸念される事業に政府の代わりに投資するのは非常に危険だ」という年金専門家らの指摘に対し、朴候補は正面から反論した。朴候補の言葉は突出発言でも個人の考えでもなかった。文在寅(ムン・ジェイン)政権の国政企画諮問委員会が提示した方向と少しも変わらなかった。これに先立ち国政企画委も公共賃貸住宅、国公立保育施設に言及し、「社会責任投資」を強調した。6日に委員会が主催した「所得主導成長と国民年金基金運用方向決定討論会」での金振杓(キム・ジンピョ)委員長の演説を通じてだ。この討論会はメディアに公開され、発表のようなものだった。

これで文在寅政権の「国民年金運用政策」の軸は表れた。国政企画諮問委の行事と朴候補の答弁などを整理すると、国民年金に対する現政権の視点は大きく4つの争点的側面が注目される。「国民年金は▼公共福祉(社会責任)投資に消極的▼投資対象が財閥・大企業に偏っている▼ベンチャー・創業投資に積極的に取り組むべき▼保有株式の議決権強化で財閥企業経営を監視すべき」ということだ。こうした「問題点」を正すというのが文在寅政権の国民年金政策の骨格になる見込みだ。多数の専門家が「国民年金は政府の小遣いではない」とし「5年政権の越権」という懸念を表したが、容易に退く雰囲気ではない。福祉政策への国民年金動員、保有株式の議決権強化は、以前の政府でも何度か取り上げられてきた。

◆「公共投資で出生率・雇用率向上」

金振杓委員長が「社会責任投資」と強調した公共投資強化論から見てみよう。公共賃貸住宅や保育施設に対する投資の需要は増えるが財源(税金)は不足しているという現実に基づく。国民年金を動員して出生率を高めれば、結局は年金財政にプラスになり、基金枯渇時点も遅らせることができるという主張だ。国と地方自治体の債券を国民年金が買い取れば安定性と収益性までが保証されるという楽観論も同時に出てくる。国内総生産(GDP)に対する基金の規模が世界3位水準であるため資金の余裕もあるというのが現政権の考え方だ。

反対論は、公共投資は財政でするべきであり、国民の老後資金が政府の人気迎合用資金に転落してはいけないという原則論に立脚している。今の納税者の負担を減らすために未来の世代の負担を増やすことはできないという論理だ。これら事業は性格上、政府や地方自治体が適正な債券収益率を言いにくい側面もある。収益も出ない事業で国民年金に対する不信感だけを深めることもあるという懸念も出ている。

◆専門家「政府の小遣いではない」

金委員長は「国民年金の株式投資で大型株・財閥企業の比率は84.3%」とし、有価証券市場の大型株比率(77%)より高いと指摘した。国民年金の資金で大企業が投資特恵を得ているように言及しながら「財閥企業に偏った投資」を提起したのだ。もう一つの「財閥たたき」ではという懸念が出る背景だ。しかし国民年金の株式投資は時価総額に比例して機械的に行われる。国民年金公団の関係者は「国内株式投資は長期投資を目指し、株式市場の流れに追従する『市場中立的戦略』を追求するだけ」と述べた。

これに関連する要求が「ベンチャー投資拡大論」だ。金委員長は「年金を運用する方々が大韓民国の未来の経済の責任を負うという認識を持つことが重要だ」とし、ベンチャー投資拡大の必要性を力説した。また「10年後に財閥がいくつ生き残るか」と話したりもした。ベンチャー企業に積極的に投資するべきだという要求は、国民年金運用原則の一つである安定性に反する。公団側は「ベンチャー投資は基金ポートフォリオ管理観点で投資条件などを考慮して行われる」という意見を出した。社会的投資やベンチャー投資は元金損失のリスクが大きいため社会的な合意が必要という年金専門家の警告も少なくない。

「保有株式の議決権強化」は政界と労組が主に提起してきたことだ。「年金社会主義」という批判にもかかわらず朴槿恵(パク・クネ)政権当時から議論されてきたスチュワードシップコード(stewardship code)の導入が今後加速する見込みだ。年金基金や資産運用会社など主要機関投資家が企業の意思決定に積極的に参加するよう誘導するというのがスチュワードシップコードの核心だ。国民年金基金の規模が拡大し、株式の5%以上を保有する国内の企業は285社、10%以上の企業は76社にのぼる。多くの大企業の最大主要株主が国民年金ということだ。