韓経:【社説】最低賃金の急激な引き上げ、一貫性も公正性も見えず=韓国

  • 2017年7月18日

来年の最低賃金(時給7530ウォン、約750円、16.4%引き上げ)が特攻作戦のように決定され、大きな波紋を呼んでいる。最大引上幅(1060ウォン)ほど大きな後遺症が予想されるということだ。こうした流れで2020年に時給1万ウォンになる場合、庶民経済の崩壊を懸念する声まで出ている。問題は最低賃金の構造的欠陥にある。最低賃金を「不可逆的福祉」のように考えてむやみに加速ペダルを踏めば、経済と雇用に「毒」になるしかない。

まず、最低賃金は通常賃金など他の賃金制度と比較して一貫性が欠如している。韓国の最低賃金には基本給と固定手当だけが含まれる。先進国がほとんど含めている賞与金、成果給、宿泊費などが抜け、範囲が非常に狭い。一方、休日・延長勤労手当の基準である通常賃金は一律・固定・定期的に支給する賃金がすべて入る。定期賞与金はもちろん成果給、福利厚生費が含まれたりもする。最低賃金と通常賃金ともに労働者側に有利だ。

賃金下限線(最低賃金)は最小限にしながら通常賃金は最大値で計算するのは矛盾だ。このために最低賃金委員会で使用者側が毎年改善を要求したが、労働界の反対でいつも失敗に終わった。下半期に制度の改善を議論するというが、労働界は逆に4人の生計費に基づき最低賃金を決めようと主張し、改善されるかどうかは不透明だ。

政府が小商工人・零細中小企業の賃金上昇分に対して財政から3兆ウォンを支援するという対策も公正性をめぐる問題の余地がある。民間の賃金を税金で支給するのが適切なのか疑問だ。来年から追加負担となる人件費は15兆2000億ウォンだが、支援を受けられない事業主の不満は相当なものとなるだろう。また30人未満の事業場だけが支援される場合、事業場を分割する最低賃金版「ピーターパン症候群」も懸念される。

最低賃金を16.4%も引き上げておきながら5年間に平均引上率(7.4%)の超過分9ポイントを税金で埋めるのは本末転倒の弥縫策だ。なら実質所得を補填する勤労奨励税制(EITC)の拡大がはるかに効率的だ。しかも時給1万ウォンなら税金で埋める金額が年間16兆ウォンにのぼると推定される。こうした対策がいつまで可能だろうか。一貫性も、公正性も、持続可能性も担保されていない最低賃金の急激な引き上げは労働市場を深刻に歪めることになるだろう。