韓経:【コラム】「TOEIC共和国」のあきれた公務員試験=韓国

  • 2017年6月29日

数日前に締め切られた国家公務員7級公開採用試験の受験者が大幅に減った。信じられないかもしれないが、事実だ。志願者数は4万8361人と、前年に比べ27.5%も減少した。一方、9級試験の志願者は依然として過去最大規模だ。7級試験の受験者が急減した理由は何か。

人事革新処は英語が理由という。昨年までは7級も英語の試験を他の科目と同時に当日に行っていたが、今年からはTOEIC・TOEFL・TEPSなど英語能力検証試験の成績を提出させたということだ。一定レベルを越えていない受験生がカットされたのだ。人事革新処は平然と話す。しかしこれは何を意味するのか分かっているのだろうか。

まず7級試験に1次筆記試験が追加されたという意味だ。採用の手続きが複雑になった。しかしこれは置いておこう。韓国の公務員を選ぶのに最初の関門が韓国語でなく英語というのはとんでもないことだ。公務員生活にどれほど英語が必要なのかは知らない。今回の7級試験で英語の成績が足りないため願書を出せなかった受験生は2万人を超える。

さらに大きな問題は別にある。受験生のうち少なくとも90%以上はTOEIC試験を受ける。受験料は4万8900ウォン(約4800円)だ。7級試験受験料(7000ウォン)の7倍にのぼる。就職活動をする学生の負担を考慮したのだろうか。

TOEICはETSという米国の民間財団が作った試験だ。国内代理店の手数料も多いが、27.4%はETSに入る。韓国の公務員試験を受けながら筆記試験の受験料の倍のお金を米国に納付する現実にどう納得すればよいのか。今回の7級試験の過程で10億ウォン以上が米国に出ていくという推算だ。7級だけではない。5級の英語試験がTOEICに置き換えられたのはかなり以前のことだ。「TOEIC植民地」という言葉が出てくるのも理解できる。

世界のTOEIC受験者10人のうち4人が韓国人という。毎年200万人以上がTOEIC試験を受け、300億ウォン以上が米国にロイヤルティーとして出ていく。韓国のおかげで生きていけるTOEICだ。TOEICという試験は問題を解くスキルが重要であり、独学が容易ではない。このため塾代や教材費で大きな打撃を受ける。始めれば50万ウォンはもちろん、100万ウォンどころでもないというのが求職者の嘆きだ。

さらに試験が独占的な構造だ。このため受験生を悩ませることが多い。韓国のTOEIC試験を管理するのは韓国TOEIC委員会だ。あたかも政府機関のように感じるが、一つの英語学校の子会社にすぎない。受験料の設定から一方的だ。ほとんど2年ごとに5%以上引き上げる。20年間に倍に上がった。不満があってもどうしようもできない。適時に申請できなければ、試験日までまだかなりの時間が残っていても追加料金を支払わなければいけない。キャンセルする場合の手数料は涙が出るほどだ。成績は3週間も過ぎてから通知され、どれが正解してどれが間違ったかも知らせてくれない。

満点者でも疎通能力が落ちるという「TOEIC無用論」の中でもTOEICが韓国で独占的な地位を維持している理由は簡単だ。それに代わる試験がないからだ。試みはあった。李明博(イ・ミョンバク)政権当時に563億ウォンの予算を投じて韓国型TOEICという「NEAT」を開発した。しかし政策の一貫性不在と低い認知度のため2015年に廃止された。

日本は韓国の次にTOEIC依存度が高いが、英検という試験を開発し、着実にその市場を広めている。中国も国家主導で開発したCETという試験が受験料が高いTOEICを抑え、公認英語試験として定着している。韓国も自国の試験を開発する必要があるということだ。

出題と施行に競争体制を導入し、監督と評価に基づく改善が後に続けば、いくらでも可能なことだ。今のように評価試験の独占構造を放置するのはよくない。受験、就職、昇進の英語がいつまで別々に存在するのか。英語教育の目的を定めて、一貫性を持って推進していくことが求められる。

多くの時間と予算が必要だと反論する人もいるだろう。しかし今の状況はもっと非効率的であり、多くの費用がかかる。民間ならまだしも、韓国の公務員を目指す若者が英語で、それも受験料が高い米国のTOEICで1次試験をするというのは話にならない。

キム・ジョンホ/首席論説委員