韓経:「アルファ碁」採用した現代製鉄 「夢の自動車鋼板」生産

  • 2017年6月15日

現代製鉄先行研究チーム研究員が13日、忠清南道唐津製鉄所の技術研究所で、人工知能(AI)のアルゴリズムで成分を分析して製作した自動車鋼板を紹介している。(写真=現代製鉄提供)

現代製鉄が次世代自動車鋼板の研究開発(R&D)に「アルファ碁」の人工知能(AI)を導入し、試作品を製作した。同じ生産コストで従来の製品より鋼板の性能を40%ほど向上させた。第4次産業革命時代を迎え、AIが韓国の製造業に移植された事例として産業界の注目を浴びている。

現代製鉄は3年間のR&Dの末、グーグルが開放したアルファ碁のアルゴリズムを鉄鋼業の特性に合わせて進化させたと14日、明らかにした。プロ囲碁棋士の李世ドル(イ・セドル)九段と柯潔九段を撃破したアルファ碁が自ら学習するディープマインド方式を通じて、自動車鋼板の製作で最適な金属配合比率を見つけ出したということだ。最適な比率は重さや価格など顧客の要求条件によって変わるため、これまで研究開発者は毎回、実験を通じて性能を確認する必要があった。

自動車鋼板は鉄・亜鉛・マンガンなど7種類の金属または合金を配合して製造する。最も強度が高く加工性が優れた成分の組み合わせを見つけ出すのがカギとなる。2010年に国内のある企業は性能を大幅に改善した新製品を紹介した。しかし生産コストの増加で高い価格を設定したため、市場の注目を引くことができなかった。

現代製鉄が今回製作した試作品は、コスト増加の負担なく強度と加工性を従来の製品より40%ほど向上させた。ク・ナムフン現代製鉄先行研究チーム長は「第3世代鋼板と呼ばれる今回の製品は強度、加工性、価格競争力を最大値に高めた」とし「人工知能(AI)が製造業の革新を牽引できるということを確認した」と述べた。現代製鉄は今年下半期からAIのアルゴリズムで計算した次世代自動車鋼板を発売する計画だ。

「次世代固有強種成分設計システム」と呼ばれる現代製鉄のアルゴリズムはアルファ碁の方式と同じだ。アルファ碁が囲碁をしながら多くの場合の数の中から最適な一手を見つけ出すように、時間と費用の限界で人間が発見できなかった最適な配合成分を導き出す。

◆人間の限界を超えるR&D

アルファ碁は一度の囲碁対局で10の360乗という場合の数を扱う。宇宙に存在する水素の原子個数(10の80乗)より多く、チェス(10の123乗)より複雑な過程だ。アルファ碁が李世ドル九段に勝つことができたのは、数千万回の対局を暗記して自ら学習したディープラーニング技術のためだ。アルファ碁は各状況に合わせて最善の答えを見つけ出す。この時に出てくる値は円周率(3.14159…)のようなものではない。それ以上計算しても同じ値が出る一つの点に収束される。多くの場合の数の中でアルファ碁が碁石を置く方式だ。

現代製鉄研究チームは同じ原理を通じて15億を超える場合の数から最適な成分の組み合わせを見つけ出した。素材、AI分野の教授陣と現代製鉄技術研究所先行研究チーム6人が取り組んだ3年間の研究の結実だ。

今回の研究に参加したソン・ギソン世宗大ナノ新素材工学科教授は「アルファ碁の対局のようにエンターテインメント分野でなく製造業にAIを適用して意味のある結果を得ることができたというのは、世界の注目を集めるほど示唆する点が多い」とし「第4次産業革命時代を迎え、AIと製造業の結合は産業現場の姿を大きく変化させる可能性が高い」と述べた。

完ぺきな鉄鋼成分配合を見つけるのは以前からの業界の念願だった。高級レストランがおいしい料理を作るために「黄金レシピ」を見つけ出すように、各企業も最適な成分配合を発見するために数十年間にわたり注力してきた。しかし15億を超える場合の数を人間の手で直接実験するのは事実上不可能だ。こうした現実的な限界のため鉄鋼業界では標本研究をしている。数十年間蓄積したデータと研究員のノウハウに依存する構造だ。いちいち人の手で実験をするため研究期間は長くなるしかない。

◆不良鋼板も識別

現代製鉄はAIの導入で成分配合に投入する研究開発(R&D)費を半分に減らすことが可能になった。数カ月間かかっていた実験期間もわずか10日に短縮した。同社の関係者は「工程条件と成分細分化作業を経て、すべての場合を人の手で計算するには理論的に8834年かかる」とし「費用と時間を画期的に減らした」と述べた。

開発の初期、会社の内部では「人工知能が自分たちの職場を奪う」として反発もあった。人がしてきた仕事を機械が代わりにする場合、職員がする仕事がなくなるという心配だ。しかしアルゴリズムが開発された後、研究所の職員の認識は変わった。業務の効率性が高まり、他の研究に費やせる時間が増えたからだ。

現代製鉄は複数の分野にAI技術を拡大する計画だ。最近は不良鋼板を識別する自動判読システムにもディープラーニングのアルゴリズムを適用するのに成功した。これまでは10年以上の経験を積んだ熟練作業者が目で金属組織を判読して不良品を判別した。

自動判読システムは熟練者3人の作業パターンを学習し、正確度を99%まで高めた。作業者が正常製品と不良品に区分する際に金属組織を一つ一つ保存し、これを学習した結果だ。ディープラーニングを通じて正確度は徐々に高まっている。人の手より完ぺきな作業をするということだ。