韓経:「日中、若い科学者誘致競争…韓国も投資する時」

  • 2017年6月5日

基礎科学研究院(IBS)のキム・ドゥチョル院長

日本と中国は米トランプ政権発足と英国の欧州連合(EU)離脱の影響で不安を感じている外国人科学者を対象に積極的な誘致戦を繰り広げている。

中国は「1000タレントフェローシップ」という誘致プログラムを運営している。研究者の国籍を問わず中央政府が年間約3000万円、地方自治体や大学がマッチング形態で約3000万円の研究費を支援し、自動車や家まで提供する破格的な待遇をしている。韓国にも年間1億3000万ウォン(約1300万円)ずつ最大5年間、博士学位を取得した若い科学者を支援するプログラム「大統領博士後研究員フェローシップ」がある。しかし年間5000人を超える理工系博士に十分な機会を与えられていないのが実情だ。

基礎科学研究院(IBS)のキム・ドゥチョル院長は「博士学位を取得した後5年以内が、研究者が最も創意的で研究意欲が高い時期」とし「この時期に研究経歴が途絶えず独創的な研究をする機会を与えるべきだ」と述べた。キム院長は「ノーベル科学賞受賞者のおよそ半分が30歳前後に開拓した研究結果で賞を受けた」とし「30代前後が研究者にとって非常に重要な時期」と強調した。天才物理学者アインシュタインは26歳で特殊相対性理論と「光電効果」を発表し、2013年のノーベル物理学賞受賞者ピーター・ヒッグス英エジンバラ大教授は36歳でヒッグス粒子の存在を主張する最初の論文を発表した。

キム院長は「若い研究者が自由に挑戦し、次の段階に進むキャリアパスが必要だ」と強調した。1982年にノーベル物理学賞を受賞したケネス・ウィルソン・コーネル大教授は、青年科学者を育てる原理と哲学が必要だという点を示す代表的な事例だ。「ウィルソン教授はハーバード大を卒業し、カリフォルニア工科大でノーベル賞受賞者マレー・ゲルマン教授のもとで博士学位を取得した後、コーネル大物理学科助教授になったが、6年間にわたり論文がなかった。1970年に入るとノーベル賞を受けたくりこみ理論を説明する独創的な論文を発表し始めた。学校が信じて待ち続けたということだ」。

独マックス・プランク研究所、日本理化学研究所、米ハワード・ヒューズ研究所などの研究所は青年科学者の独立的な研究を支援するさまざまなプログラムを運営している。IBSも昨年から40歳以下の科学者の自由な研究を支援するヤング・サイエンティスト・フェロー(YSF)プログラムを準備した。昨年12月に初めて7人の30代研究者を選定し、最大5年間、年間1億5000万-3億ウォンの研究費が支援される。

IBSは基礎科学集団研究を通じて韓国の基礎科学力を世界的レベルに高めることを目標に設立された。キム院長は「IBSは基礎科学を探求する大規模な研究団であるほか、青年科学者を育成することも主な目標とする」とし「研究団を率いる研究団長29人も共感している」と述べた。IBSは先月末まで今年のYSF志願者を募集した。今年は昨年(134人)より多い159人が志願した。キム院長は「予算状況を反映して毎年10人前後を選定し、2021年までに50人のYSFを選抜して運営する計画」と述べた。

キム院長はYSFに選ばれた科学者に徹底的に研究内容だけをチェックすると約束した。論文を出そうとアイデアを発表しようと、該当分野の国内外の学者に認められさえすればよい。YSFプログラムを終えた若い科学者のうち研究成果が優秀な人には大学や研究所に席を移し、研究室設置費用も支援するという約束もした。「研究所や大学に入った新進研究者は最初の1、2年間は研究室をセッティングするのに時間を使う。世界的な研究者に成長するよう後押しするのが先輩研究者の役割だと考える」。