韓経:【コラム】文大統領の「Jノミクス」、速度調整が必要な理由(1)

  • 2017年6月2日

文在寅(ムン・ジェイン)大統領の就任の辞で最も印象深かった部分は「今、私の胸は一度も経験しなかった国を作るという情熱で熱いです」だ。民間企業のコンサルティングは失敗することがあっても国家政策は失敗してはいけない。

文大統領の経済哲学であるジェイ(J)ノミクスは一言でいうと「所得主導成長」だ。家計可処分所得を増やして家計を豊かにしてこそ、消費が増えて経済が回復するという論理だ。所得主導成長を激発させる引き金は家計所得の増加だ。財政を通した公共部門の雇用創出、公共部門非正規職の正規職転換、最低賃金の引き上げなどは家計所得を増やそうということだ。

所得主導成長は人気を呼ぶのに十分だ。分配を増やすというのに歓迎しない国民はいない。そして、分配だけを増やすわけでなく、成長の実りも得ることができるというから両手に花だ。だが、考えなければならないことがある。分配を通じて成長を導くというなら、「成長を導く分配をするその何か(所得)は誰がどのように生産するだろうか」という質問に答えなければならない。所得主導成長の論理展開は逆になっている。問い(成長)を解くのではなく、解(分配)を先に提示してそれに合わせて問題を出すことだ。

所得主導成長は持続可能性を担保することが容易でない。「分配を通じて創出された所得が次期の成長のために必要な分配要求量より少なければ」経済はマイナス成長をたどるほかはない。これは「分配を通じて生産したものであり、成長に必要な分配要求量を満たすことはできない」ということを意味する。社会主義体制が崩壊したのは「能力により生産」に集中して「必要に応じた分配量」を満たすことができず、慢性的な物資不足の現象が現れたためだ。同じ論理構造だ。

所得主導成長は論理的にも整合的でない。消費を出発点として経済を回せることはできるが、消費が増えるからといって経済の生産力が拡充されるわけではない。生産力は資本の蓄積量、労働生産性、技術水準によって決定される。内需刺激が景気活性化に役立つが、供給の面で潜在成長率を高めることはできない。所得主導成長は経済成長と景気循環を混同している。所得は、成長の結果であるだけで源にはなれない。