韓経:【コラム】用米・得中が安保政策のキーワード=韓国

  • 2017年5月16日

文在寅(ムン・ジェイン)大統領にとって大統領選挙の勝利は、2回目の挑戦で苦労して最高指導者の地位をつかんだ生涯最大の瞬間かもしれないが、これを祝って楽しむ時間は多くないようだ。

韓国が直面している安保危機、外交孤立、経済沈滞、政治弊害、社会分裂の5大危機と朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾による指導力空白の後遺症を勘案すると、文大統領は直ちに政策現場に飛び込まなければいけない状況にいる。その中でも最も緊急な分野が見えず、そのために新政権の安保政策にかける専門家の期待は特別だ。

安保政策を決めるにはまず、現安保状況に対する評価と未来に対する予測がなければいけない。そのような評価と予測から政策基調を設定するべきであり、設定された基調に立脚して分野別または懸案別の政策代案を立てていく必要がある。当然、政策基調と具体的な政策代案は現状況に対する評価と未来に対する予測が楽観的か悲観的かによって大きく変わるだろう。

参考に筆者は現在および未来の安保状況を非常に悲観的に見ている。韓国の安保は、日々深刻になっている北核脅威、中国の政治・軍事的浮上と膨張主義対外政策による圧迫感、「トランプリスク」による同盟の不確実性、韓日安保協力が円滑でない中で露骨になっている日本の再武装、超強大国への復帰を目指すロシアの軍事的な動き、安保事項でも深刻な賛否論争が繰り返される韓国社会の分裂、国力および外交的位置づけの低下を招く韓国経済の沈滞など、7つの悪材料に包囲された七面楚歌の状態にある。すなわち、韓国の安保は矮小化・孤立化・周辺部化の道に入った状態であり、新政権にはこの流れを変えなければいけない歴史的責務が課されている。

新政権がこのような評価に共感すれば、それに合う政策基調が必要だ。まず、安保・国防力に関しては、今は縮小ではなく拡大志向型の政策基調が求められる時期だ。2つ目、安保政策と対北朝鮮政策の関係は両者を反比例的またはゼロサム的な関係で見るより、確固たる安保を常数としてその上で南北関係の改善を図るのが望ましい。3つ目、南北和解の追求に関しては北核の国際連携を離脱しない方法と範囲を遵守することが必要だ。4つ目、米国と中国を相手にする場合、等距離外交や一方的な便乗は危険だ。それよりも確固たる同盟を中心にした状態で韓中間の非敵対的友好関係の維持発展に最善を尽くす「アライアンス・アンド・ヘッジング」(alliance & hedging)が現実的な基調となるだろう。

新政権の前には直ちに対処すべき政策課題が山積している。北朝鮮の6回目の核実験の可能性、中国のTHAAD(高高度防衛ミサイル)報復、米国の対北朝鮮先制攻撃の可能性、米戦術核の再配備、米国の核の傘の信頼性、トランプ米大統領が提起する安保ただ乗り論、慰安婦合意と韓日安保協力、韓国の適正国防予算規模、韓国軍の北核抑止体系の適切性、国防改革などの懸案が新政権の決定を待っている。このため新政権は安保状況に対する正確な評価と予測を基礎に、現実的な政策基調を設定することが急がれる。

安保に関する限り保守も進歩もなく得策も存在せず、他のすべてのことが確固たる安保の上で成り立つべきという正論があるだけだ。すべてのことを勘案すると、今は韓国が一方では独自の能力を高めながら、別の一方では同盟と友好国を活用し、対中国および対ロシアの立場も確保していく用米・用日・得中・得露の知恵が必要な時だ。

金泰宇(キム・テウ)/建陽大教授/元統一研究院長/客員論説委員