韓経:予算・人材不足で許認可専門家を育成できない韓国

  • 2017年5月2日

食品医薬品安全処の職員が忠清北道五松の動物実験センターで薬品の実験をしている。(写真=食品医薬品安全処提供)

緑十字は昨年末、韓国の製薬会社では初めて破傷風・ジフテリア(TD)ワクチンの国産化に成功した。バイオ医薬品開発を支援する食品医薬品安全処(食薬処)の事業が大きな力になった。臨床試験計画を組むほか、開発過程で問題が発生すれば食薬処の公務員が駆けつけて助言をした。緑十字は通常15年以上かかるワクチン開発期間を10年に短縮した。食薬処が医薬品許可基準などを詳細に確認し、試行錯誤を減らしたためだった。

しかし緑十字のような事例は多くない。食薬処に支援を要請するバイオ製薬会社は多いが、食薬処の人手が不足している。

◆審査人材は依然として不足

人材不足は食薬処の慢性的な問題に挙げられる。2012年を基準に食薬処のバイオ新薬担当公務員1人が担当する許可件数は年間0.44件だった。一方、米国は0.04件、日本は0.18件にすぎない。食薬処の公務員の許可業務量が米国食品医薬局(FDA)に比べ10倍多いということだ。

さらに許可申請を待機中の医薬品が毎年増え、審査期間が長期化する事例も続出している。しかし予算不足などで審査人材は増えていない。2014年に76人だったバイオ生薬審査部の職員は昨年71人に減少した。

食薬処の関係者は「人材が不足し、許認可担当職員が企業支援業務まで受け持っている」とし「企業の需要を満たせていない」と述べた。

◆専門性を伸ばせない人事制度

専門性を高めることができない環境も問題だ。現在約600人が勤務している食薬処本部は元医者が一人しかいない。昨年9月に医薬品安全局長になったイ・ウォンシク局長が唯一だ。製薬会社など民間出身の公務員も少ない。製薬会社や医療機器企業との癒着を警戒して生じた現象だ。このため現場をよく知る専門家が米国など海外の規制機関に比べてかなり不足しているという指摘が出る。

特定分野の専門性を高めることもできない。2年ごとに担当業務が変わる循環補職人事のためだ。担当公務員が交代するたびに状況を説明しなければならず、関連規定が変わらないか心配する。新薬の開発に15年以上かかるが、審査基準が変われば一瞬にして水の泡になることもある。

バイロメド社のキム・ソンヨン社長は「米国など海外医薬品許可当局では担当公務員が2年ごとに交代するケースはほとんどない」とし「規制機関の専門性を高める必要がある」と指摘した。

◆競争力を高める海外の規制機関

海外の規制機関は速いペースで競争力を強化している。欧州医薬品庁(EMA)は昨年3月から、幹細胞治療剤など先端製剤を速かに開発できるよう担当公務員が企業に規制関連戦略を提供する「迅速開発支援制度」(PRIME)を始めた。

FDAは規制が技術と産業の発展に合わせて進化できるよう規制科学を研究している。予算を編成する時もこれを優先順位とする。職員個人の専門性を高めるためにさまざまな教育プログラムを提供している。民間企業出身者や医者も職員として雇用する。産業現場でさまざまな経験をした専門家を通じて規制業務の専門性を高めるためだ。

科学技術政策研究院のイ・ミョンハ研究委員は「産業の発展と規制は強く結びついている」とし「新技術が出てくる状況で速度を合わせて規制が準備されなければ、世界市場で遅れをとることになるだろう」と述べた。