韓経:【コラム】韓国、大企業があまりにも少ないのが問題だ!

  • 2017年4月25日

正義党の沈相ジョン(シム・サンジョン)大統領候補が勤労者の企業利益均霑(きんてん)権を要求するのは正義党の路線に合う。そのためでもあるが、我々は正義党には国富創出についても、勤労者の福祉についても、それほど期待するものがない。市場経済を搾取制度と理解するなら、利益均霑権はそれらしき治療薬に見えるだろう。従業員持ち株制度を通じたわずかな配当より、源泉利益の均霑がいわゆる「根本対策」と考えることもできる。しかしこれは中世の天動説と変わらない。目に見えるものがすべてではないと気づくのが科学の出発だ。市場を商人たちの不正な交換過程と見れば、市場の撤廃を政治の目標にするしかない。

勤労者利益均霑権は6月抗争の結果である1987年の憲法改正当時にも論争になった。しかし始点は制憲憲法にまでさかのぼる。利益均霑という言葉は制憲憲法草案の作成者ユ・ジンオの提案で憲法に挿入されたが、幸い、審議の過程で削除された。企業の利益がリスク選択への対価であり、それに対する補償と懲罰の過程を通じて文明が進歩するということを理解できなければ、資本と労働の対価がどのように違うか理解できない。ユ・ジンオは企業は国営企業を基本と見なし、貿易も民間貿易を原則上認めない国家独占貿易体制を想定した。民間貿易は密貿易だと考え、民間大企業は見たことがなかった植民地知識人の限界だったというだろう。いま韓国政界の一部で当時の企業観に固執するのは知的な怠惰でしかない。

問題は大統領当選に最も近いとみられる共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)候補の経済観だ。文候補の公約と民主党のその間の立法活動は、大企業と資本家を敵対視する前近代的な経済観だ。こうした経済観では、国の経済の将来を期待することができない。政府の支援に頼って生きる零細企業で埋まる地域の悲鳴だけがさらに悲惨に響くだけだ。正しい経済分析なしには正しい経済対策、すなわち普通の勤労者が良い暮らしをし、国家福祉は庶民に集中し、企業は新しい商品とサービスで世界で活躍し、学校を卒業すれば自分に合う職場を難なく探すことができる、そのような経済を決して作ることはできない。

いま文候補が主張する経済民主化は、制憲憲法当時の小規模植民地経済を再現しようという時代錯誤的な政治闘争にすぎない。大企業を敵対視する企業観からしてそうだ。韓国経済の最も大きな問題は大企業があまりにも多いのではなく大企業があまりにも少ないという点だ。企業数99%、勤労者の比率88%という、いわゆる「9988論」は中小企業の重要性でなく苦痛と貧弱を象徴するだけだ。この厳然たる事実を文候補は悟らなければいけない。

韓国で250人以上を雇用している大企業は企業全体の0.2%にしかならない。ここで働く従業員数は全体勤労者の19.9%だ。日本は大企業数0.6%、従業員数25.8%だ。日本もそれほど高い比率ではない。ドイツの大企業数は全体企業の2.1%、雇用は52.9%にのぼる。ドイツの勤労者の半分以上が大企業で働いている。これは米国も同じだ。米国の勤労者の40%以上が大企業で勤務する。一方、韓国では9人以下の零細企業数が非正常的に多い。企業全体の81.1%が9人以下の事業場であり、これら零細企業で苦労して働く勤労者数は全体の24.2%にもなる。日本はこの数値が14%、ドイツは6.7%にすぎない。この差は何を意味するのか。

韓国には大企業があまりにも少ない。それが過度な自営業、地域商圏の悲鳴、良い職場を得られない庶民の厳しい生活の実体だ。この事実を知らず、また中小企業・地域商圏保護と大企業規制を主張すれば、この国の大卒青年が良い職場を期待するのは今後も難しいだろう。国民所得5万ドルに進むにはそれにふさわしい経済知識が必要だ。

鄭奎載(チョン・ギュジェ)論説顧問