韓経:【コラム】大統領が大学入学金にまで干渉する大韓民国

  • 2017年4月24日

大統領選挙を控え、候補の大半が大学入学金廃止公約を出している。誰が当選しようと、大学入学金の廃止は既成事実になる雰囲気だ。しかし大学が入学金を受けない場合、長期的に大学の発展や学生に決してプラスにならない。こうした点で大学入学金の廃止は大学生の票を引き込むための公約にしか見えない。

大学が新入生から入学金を受ける理由は、在学生とは違い新入生を受け入れる準備をするうえで諸費用がかかるからだ。そこには新入生オリエンテーション、新入生の登録に関連する電算業務、新入生の補助およびサービスなどが含まれる。このため新入生には在学生の授業料より多く賦課される。追加で賦課するものには入学金という用語を使う。米国でも入学金(matriculation fee)を受ける大学が多い。

大学も財政が確保されてこそ運営できる。大学が授業料に依存して運営されるのが韓国の現実だ。ところが授業料の規制によって大学の財政が悪化している。さらに入学金まで禁止すれば、大学の財政はさらに厳しくなるしかない。授業料規制と入学金廃止は一種の価格規制だ。言及すること自体が紙面の浪費になるほど価格規制の弊害はよく知られている。

授業料を規制して入学金を禁止する規制は、学生と保護者の経済的な負担を減らすという善意から生じたはずだ。もちろんこうした価格規制は、いま大学に通う学生には財政的に助かるだろう。しかし長期的には保護しようとした大学生に被害が向かう。最も大きな被害者は経済的に余裕がない大学生になるだろう。価格規制によって財政収入が減れば、こうした学生に対する奨学金が減るからだ。また財源が不足すれば、大学の発展と良質の教育に対する投資が減る。優秀な教授を確保しにくくなり、教育と研究への投入が減る。その場合、長期的に大学教育の質が落ち、結局、その被害は大学生が受けることになる。

国内の大学教育が質的に低下すれば、良質の教育を望む人たちは外国留学に向かう。留学できるのはほとんど裕福な家庭の学生に限られる。留学できず国内で質が低い教育を受ける学生は結局、グローバル競争で劣る。大学の財政が問題なら「財団転入金」を増やせばよいというかもしれない。しかし韓国の私立大学は授業料以外に大学運営費を調達できる源泉がほとんどない。多くの規制のため収益事業を通じた財源の確保が容易ではないうえ、寄付金といっても同窓を通じて入ってくる少しの寄付金だけだ。

授業料の水準は立場によって異なる。大学生側は高いと、大学側は低いと考えるかもしれない。実際、いかなる財・サービスであれ、それを購入しようとする人はできれば少なく支給しようとする。一方、提供する側はできれば多く受けようとする。このような利害が相反する問題を解決するのが競争だ。

したがって重要なのは授業料と入学金を規制するのではなく、大学間の競争を誘導することだ。競争があれば、大学は少ない授業料で質の良い教育を提供しようとするだろう。しかし韓国の大学教育は競争構造ではない。政府が大学の設立・運営、収益資産の運用、学事運営などほとんどすべてを規制しているからだ。こうした環境のもとで大学の競争力は上がらない。競争が存在すれば、大学はできるだけ学生の負担を減らし、良い学生を誘致し、良い教育サービスを提供するために、あらゆる努力を通じて多くの財源を確保しようとするだろう。

もう政治と政府は大学に介入するべきではない。大学を政治的に利用して政府の統制下に置く限り、大学の発展は見込めない。急変するグローバル環境に合う人材を養成できるように大学を自由にしなければいけない。

アン・ジェウク/慶煕(キョンヒ)大教授・経済学/韓国制度経済学会会長