韓経:【社説】一人で増税を叫ぶ奇異な隠遁の国、韓国政界

  • 2017年3月6日

いわゆる大統領候補という人たちが異口同音に増税を叫んでいる。最優先ターゲットは法人税だ。名目税率の引き上げについては意見が分かれるが、実効税率を高めようという主張には大統領候補の間に隔たりがない。所得税と相続税をともに引き上げようという主張も出ている。先週末に開かれた共に民主党大統領候補合同討論会で、文在寅(ムン・ジェイン)前代表は高所得者の所得税税率を引き上げ、高額相続滞納に対する増税も推進すると明らかにした。資本所得課税強化方針も表した。文前代表はまず法人税実効税率を引き上げ、それでも不足すれば法人税名目税率も上げるべきだと述べた。李在明(イ・ジェミョン)城南市長は法人税の最高税率を現行の22%から30%に引き上げると公約した。

劉承ミン(ユ・スンミン)正しい政党議員も法人税率引き上げを主張している。安熙正(アン・ヒジョン)忠南知事、安哲秀(アン・チョルス)前国民の党代表、南景弼(ナム・ギョンピル)京畿道知事は法人税名目税率引き上げには慎重であるべきという態度だが、非課税・減免縮小を通じた実効税率引き上げには同意している。OECD(経済協力開発機構)のうち法人税の税収比率が5番目に高い点などは最初から参考資料でないという主張だ。しかも世界の多くの国が税金を引き下げている。

米国、英国、日本など各国が競争的に法人税引き下げに動いているのが端的な例だ。米国のトランプ政権は景気浮揚のために法人税を35%から15%に引き下げる画期的な減税を含む、根本的な税制改革を明らかにした。中国も例外ではない。中国は最近開幕した全国人民代表大会で、昨年に続き今年も企業減税政策を加速するという意志を明確にした。今年の企業税負担を3500億元(約5兆7700億円)ほど減らし、企業に対する各種費用徴収も2000億元に低めるという。ノルウェー、スウェーデン、豪州、ニュージーランド、香港、シンガポールなど相続税をなくす国が増えているのも似た理由からだ。米国も相続税の廃止を進めている。

このような世界的な減税傾向に逆行し、時代錯誤的な世界観で増税フレームにすがっているのが大韓民国の政界だ。増税公約を通じて富裕層に対する国民の怒りと嫉妬を刺激し、票を受けようと計算する。税制に対する理解も、経済を正常化するという意志もなく、ただ政治的な実利さえ得ることができればよいという無責任の典型だ。税金に対する無知によるものなら非常に愚かだと嘆くべきことであり、知りながらも国民を欺いているのならその偽善に怒りを感じるしかない。

「税金と死は避けられない」という言葉があるように税金は時空を超越して存在してきた。国家が維持されるためには納税が避けられない。憲法に国民の義務の一つとして納税の義務が明記されているのもそのためだ。しかし税金は国家財政維持のための必要最小限にとどめるべきだ。目的税のように国家が特定事業のために税金を徴収する場合もある。しかしこれは例外的なものであり税金は少ないほどよい。税金は国民に対する直接的な反対給付なく強制的に集める代表的な公権力行使であるからだ。

ところが韓国では、特に政界では税金を全く異なる概念で受け止めている。憎悪、憤怒、嫉妬を煽ったり補償する手段に変質してしまった。持つ者の財産を奪って持たざる者に分配することが税金の基本的な機能であるかのように認識されている。大統領候補が競って増税を叫ぶ裏には、税金でホン・ギルドン遊びやロビン・フット遊びをするというポピュリズムがあると見なければいけない。もちろん税金に所得再分配機能がないわけではない。所得税、相続税などが累進税形態を帯びているのはそのためだ。ところがこれはあくまでも補助的な機能にすぎず、税金の本質にはならない。

民間の領域から政府部門に流動性を吸収していく税金は、それだけ民間の投資や生産活動、消費などを委縮させる。法人税を1%上げれば国民の実質所得は0.5%減少するという研究もある。多くの国で税金を減らそうとするのもそのためだ。税金を増やすほど国は貧しくなる。今、大統領候補は国を貧しくすることを画策している。