韓経:【コラム】韓国ではデータ革命ない

  • 2017年3月3日

韓国には人工知能の研究者がいないという声が聞こえる。しかしそのような研究者がいたところで何ができるのか。人工知能の研究者が多くても研究するデータがなく、データがあるとしても活用できなければ効果はない。韓国がまさにそうだ。

先日、ソウル高裁で判決が一つ出た。市民団体の活動家6人が個人情報第三者提供内訳を公開するべきだとし、グーグルとグーグルコリアを相手取り起こした訴訟で一部勝訴した。事件の一部始終は省こう。注目するべき点は個人情報に関するものだ。

裁判でグーグルは「他の情報と結びつけてこそ特定の個人を識別できる、いわゆる『非識別情報』は『個人情報』に含まれない」と主張した。しかし裁判所は「該当情報だけでは特定の個人が分からなくても他の情報と簡単に結びつけて分かるなら、それも『個人情報』とみる」と判断した。

◆個人情報を高強度規制

そうでなくとも警戒対象である多国籍企業グーグルの鼻をへし折る判決が下され、痛快に思うかもしれない。しかしこの判決が国内の企業にどんな影響を及ぼすかを考えると話は変わる。裁判官のせいにすることではない。米国と比較にならないほど強力な韓国の個人情報保護法に忠実に従っただけだ。

今回の判決でおかしかったのは、行政自治部、放送通信委員会、金融委員会、未来創造科学部、保健福祉部、国務調整室などが昨年合同で出した「個人情報非識別措置ガイドライン」だ。法を変える勇気がなかった政府がガイドラインを通じてでも非識別情報は個人情報ではないものと「推定」し、ビッグデータ革命を起こそうという趣旨だった。

当時、市民団体などは非識別程度でなく還元が不可能な匿名化措置を主張し、激しく反対した(これら市民団体は国会で審議中の規制フリーゾーン法の個人情報非識別化も無条件に反対する)。しかしこうなるとデータの産業的価値も同時に消えてしまう。実際に政府が出したガイドラインを見ると、非識別情報を活用するべきなのか、するべきでないのかよく分からない。しかも今回の判決で非識別情報は個人情報でないと推定するという意味さえも薄れてしまった。

◆韓国と米国の差

政府内でも市民団体のように主張するところが少なくない。個人情報保護委員会は非識別概念自体を使うべきでないとし、国家人権委員会は金融委員会が出した信用情報法改正案にある非識別情報を問題視する。非識別であれ何であれ一切の個人情報活用を禁止するのが保護であり、人権を守るという考えだ。

非識別情報の自由な活用を保障する米国は、個人情報を保護することを知らず人権を無視しているのだろうか。非識別情報でも誰かがその気になれば他の情報と結びつけて再識別できるという点を米国が知らないわけではない。差があるとすれば、適当な処罰条項を置いて保護措置を遵守させるか、それとも活用自体を基本的に封鎖するかという点だけだ。この差が産業に及ぼす影響は天と地ほど大きい。

とはいえ韓国で法と現実が一致しているわけではない。厳格な個人情報保護法を守るが、個人情報は無限に露出するという矛盾した状況だ。プライバシーの保護を話しながらも他人の個人情報を必死に暴こうとするのはどうなのか。これだからさらに混乱する。どう考えても韓国でデータ革命は間違って進んでいるようだ。

アン・ヒョンシル/論説・専門委員/経営科学博士