【コラム】韓国、国際分業体系再編するTPPから疎外されてはならない(2)

  • 2015年5月12日

◆国家安保とも密接な事案

3つ目、TPPの外交・安保的性格を論じる時に中国をそれ自体では眺めず北朝鮮と連係して見る韓国特有の見解だ。TPP加入が「中国の軍事的台頭」に対応する効果的な“ヘッジング戦略”になるのかに対する評価はさておき、とりあえず北朝鮮の急変状況を仮定した後に中国がどのように出てくるのかから心配する思惟法だ。

これは米日が中国それ自体を深刻な安保脅威の要因として認識して、軍事同盟の強化を通じて中国牽制網を強固にする動きとは距離がある。韓半島(朝鮮半島)で北核の威嚇は決して過小評価できないが、隣り合う中国の威嚇的な軍備増強まで「北朝鮮の従属変数」と考える韓国の安易な大衆の安保意識は驚くべきことだ。

このようにTPP加入問題は経済と安保という要素が共に内包された主要な政策事案だ。TPP加入の有無あるいは時期をめぐって産・官・学がひざを突き合わせて議論するのも重要だが、より大きな枠組みでTPP加入自体を対外交渉カードとして適切に活用する政府の知恵も切実だ。なぜなら李明博(イ・ミョンバク)元大統領政権の末期に急いで始めた韓中FTAや最近議論になったアジアインフラ投資銀行(AIIB)、THAAD(高高度ミサイル防衛体系)問題なども全て政府の戦略的アプローチを必要としたからだ。

多くの国が未来ビジョンとこれを達成するための中・長期的戦略を樹立して外交・安保・産業・通商という多様な政策手段を交渉カードとして活用して困難な決定を下す。1つの国が目指す明確なビジョンと哲学なしには政策の優先順位、意志決定のタイミング、相手国の説得のためのカード、交渉の目標などをしっかり決めるのは難しい。紛争が起こって右往左往して、相手に内側がよく見えるソロバンの玉をこのようにはじいて、あちこちはねていては「実利」も「名分」も、その上に積み上げてきた「信頼」もみな吹き飛んでしまうのが常だ。

◆交渉カードとして活用する案も

中国の習近平国家主席は中国の夢である「グローバル覇権国家の実現」という未来ビジョンを実現するために周辺国を念頭に置いた多様な抱え込み作戦を駆使している。米日同盟に極めて忠実な保守政治である安倍首相は、米国との新蜜月関係の造成を通じて一方では米国を支援して必要な領域で米国の強い支持を成功裏に引き出している。オバマ大統領は米国の価値を反映したTPP妥結のために共和党の全面的な支援のもとで民主党議員を説得して交差投票を誘導している。

「韓国の夢」は何か。事実、TPPに対する正確な解決法は政権が変わっても変わることのない私たちの価値と未来の指向するところに相対している。今、韓国は「ビジョン不在」「戦略不在」「戦術不在」という「3不在混沌の時代」を生きているのではないのかと、心配が先んじる。

ホ・ユン西江(ソガン)大国際大学院長