韓経:【コラム】企業を犯罪者扱いする国、大韓民国

  • 2017年2月20日

「どこと接している国かを説明するのが大変だった。そんな時は『サムスンとLGの国』と伝えた。上から見るように接していた現地の人たちはすぐに見方を変えた…」。

1980-90年代に外国で勉強したり商社の駐在員などとして勤務した人たちのよくある経験談だ。88年のソウルオリンピック(五輪)以前は韓国を知る外国人は少なかった。

国のイメージも「戦争」「廃虚」「飢餓」など否定的なものがほとんどだった。このため海外では気後れするしかなかった。自負心を与えたのは企業だった。「Korea」は知らないが、安くて品質が良い「Samsung」「LG」「Hyundai」ブランドを知らない人は少なかった。

◆「韓国企業の成果は奇跡」

大韓民国の企業の成果は奇跡に近い。ケビン・ケラー米ダートマス大教授は「(サムスンなど)大企業の成功は21世紀の企業史上屈指の偉大な成果」と語った。先進国の量販店の隅でホコリをかぶった安物テレビを作っていた「3流企業」サムスンが、ソニーやパナソニックなどを代表とする「日本電子王国」を越えて世界情報技術(IT)産業をリードするとは誰が予想しただろうか。

海外で韓国の大企業は革新の主体と見なされているが、国内では全く違う状況だ。バッシング対象に転落して久しく、最近では「絶対悪」扱いを受ける。経営権の私有化、不公正取引を通じた中小企業収奪とそれによる甲乙関係の不条理、労組を否定する労働者搾取経営…。

韓国社会の一部では、経済沈滞や不平等など「悪の根源の財閥」を倒してこそ国が生きるといった無責任な反企業情緒が強い。

テレビや映画はこうした歪曲されたイメージを拡大再生産する。チャンネルを変えると、傍若無人の行動を繰り返す企業家キャラクターがあちこちに登場している。「企業家を悪党として描かなければ視聴率競争が難しい」という自嘲の声が放送界に広まっている。

政界は「財閥見直し」「企業規制」を強調する。新しい権力は必ず「企業への圧力」に動き出す。規制を片手に握った政治権力に苦しめられ、政権が交代すれば企業のトップが法の審判台に立つことが繰り返される。

◆「悪の根源」に転落した大企業

「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」後は反企業情緒が常識水準を超えている。李在明(イ・ジェミョン)城南市長は「韓国型RICO法を制定してサムスンを厳罰するべき」と主張した。RICO法(RICO Act)とは、米国が1970年にマフィアとエリート組織犯罪などを掃討するために作った法だ。経営界は「殺人、麻薬密売、売春、武器密売をするマフィアとグローバル企業を同一視しているのではないか懸念される」という不満の声を出す程度しかできない。

世界各国は企業のための政策を次々と出している。トランプ米大統領は米国で雇用創出さえすれば支援を惜しまないと公言している。破格的な法人税引き下げ、企業活動関連規制を1件導入するたびに従来の規制を2件なくす「ワンイン、ツーアウト」(one in,two out)行政命令に署名した。

反企業情緒と企業バッシングがこのように蔓延した大韓民国で経済発展の動力である企業家精神と革新を企業家に要求するのは恥知らずなのかもしれない。

キム・テチョル中小企業部長