韓経:【コラム】ユニクロのライバルはグーグル

  • 2017年1月23日

ファーストリテイリング(ユニクロの親会社)の柳井正会長は日経ビジネスとのインタビューで、ユニクロの最も強力なライバルとしてアパレル会社ではなく、グーグルとアマゾンを挙げた。柳井会長は「衣服は情報」とし、「アマゾンとグーグルはアパレル業界の次のプレーヤーになるだろう」とした。全世界における消費者の嗜好や購買パターンなどの情報を収集して人工知能(AI)がこれを分析・活用すれば十分に脅威になり得るということだ。2015年に160億ドル(1兆8000億円)水準だったアマゾンのアパレル関連売り上げは今年、米国の大型百貨店「メイシーズ」を追い抜き、2020年には520億ドルに達するものと予想されている。

◆崩れつつある境界

アパレルに限られたことだろうか。各領域で「境界」が崩れつつある。生産者と消費者、メーカーと流通会社、オンラインとオフラインの境界が崩れ、AIの発達によって人間と機械の領域をも重なっている。グローバルコンサルティング会社のデロイトトーマツコンサルティングは『境界の終末』(原題)でこのような境界の侵食によって新しい価値創出の可能性と躍動性が大きくなっていると分析した。

境界が崩れることで予想もしなかった所からライバルが登場している。大型ショッピングモールのライバルとしてテーマパークと野球場が取り上げられる。消費者の時間や経験、楽しみをめぐって競合するという意味からだ。

流通会社はプライベートブランド(PB)商品を拡大してメーカーと競争している。PB製品は初めて発売された時、ただの有名ブランド品と「似たような安物」だったが、今は「そこに行かないと買えない製品」として認識されている。

アパレル会社からの店舗賃貸手数料が主な収入源だった百貨店は、直接アパレル事業に乗り出している。収益性を高めて差別化した競争力を強化するためだ。ユニクロがグーグルとアマゾンを強敵としてあげているように、韓国内アパレル業界の最大のライバルはネットポータルのネイバー(Naver)や韓国最大電子商取引サイトのクーパン(Coupang)かもしれない。ネイバーはすでに電子商取引市場の強者として浮上し、クーパンも生活必需品からアパレル分野へと領域を拡大している。言語の障壁だけを越えれば、グーグルやアマゾン、アリババも直接的なライバルになる可能性がある。

◆速度か、専門性か

情報のアプローチが容易になった「スマート消費者」は、従来のようにブランドに依存せず、製品やサービスの価値をいちいち比べて財布を開いている。希望の時間に「簡単に、迅速に」手に入れられる点も大きな価値となる。消費財・流通企業が物流に絶えず投資している理由だ。

今は想像の範囲内に収まっているが、近付く未来を準備している。アマゾンは空中に倉庫型の巨大飛行船を浮かしてドローンで物を配送する方式を特許申請した。配送トラックに3Dプリンタを搭載し、注文者の周辺で商品を直接製作・配送するアイディアも特許出願した。3Dプリンタ材料に対する制限がなくなれば、消費者が選択したデザインの服を3Dプリンタでとって数時間、もしくは数分以内に配送することができるかもしれない。

柳井会長は、ユニクロがグーグルやアマゾンに優位を占める競争力として「衣服に対する専門性」を挙げた。まだ専門家の時代だが、ますます情報の重要性が増すということだ。プラットフォームと情報を手にして速度を前面に出している企業と競合する時代だ。生き残るためには、人が追いつくことのできない専門性を持つか、AIには欠いている「共感コード」を備えるか、慣れた考え方からの「途絶(disruption)」によって境界の外で機会を先取りしなければならない。