韓経:【時論】5つの波が経済を襲う、格別な対策が至急だ=韓国

  • 2016年12月6日

韓国経済に「5つの波」が押し寄せている。まず、経済活力が全方向で弱まっている。輸出・消費・投資のトリプル不振で製造業の稼働率が70%まで下落した。7-9月期の成長率は前期比0.6%と、4期連続で0%台だ。建設投資(0.5%)と政府支出(0.2%)の成長寄与度を除けば-0.1%となる。造船・海運・石油化学・鉄鋼など主力産業は構造改革に直面し、韓国経済の牽引車の役割をしてきた自動車と電子も危機を迎えている。

2つ目は、通商圧力と為替レート戦争の「トランプショック」だ。トランプ米次期大統領は韓米自由貿易協定(FTA)の全面的見直しのほか、中国製品45%、メキシコ製品35%など高率関税を宣言した。中国を為替操作国に指定するなど、主要貿易対象国に対する通貨切り上げ圧力を強化するという。韓米FTAが再交渉される場合、韓国は年間に輸出54億ドル、雇用5万件、付加価値18兆ウォン(約1兆7500億円)減少し、成長率が0.24%下落する見込みだ。ウォン高圧力によるさらなる輸出減少も懸念される。1980年代後半の日米の争いで韓国が打撃を受けたように、米中の争いでも打撃を受ける可能性が高い。米国の関税引き上げ、ウォン高圧力を避け、韓国企業の米国移転も予想される。

3つ目、中国経済のハードランディングの可能性が高まっている。中国経済は成長率が低下する中、トランプ氏が公言した通り米国の45%関税、為替操作国指定が現実になる場合、中国の最大輸出市場である米国への輸出が打撃を受けるしかない。中国は現在、製造業の稼働率が50%台まで下落し、企業・金融問題が増えている。全体輸出の26%を中国が占める韓国経済も打撃が避けられない。

4つ目、米国の追加利上げが迫っている。米国は7-9月期の経済成長率が3.2%、11月の失業率が完全雇用水準の5.0%を下回る4.6%となった。経済成長は潜在成長水準をやや上回り、消費者物価上昇率も1.6%(10月)にのぼるなど景気が回復している。これに伴い、今月初めに追加の利上げが断行され、来年も2回ほど利上げがあると、専門家らは予想している。トランプ氏の1兆ドル規模インフラ投資公約ですでに国債利回りが上昇しているうえ、利上げはドル高を加速させ、新興市場国からの資金流出を招く見込みだ。韓国は外貨流動性リスクも懸念される。

5つ目、選挙のたびに迎える政治危機と国政の空白がいつよりも深刻だ。来年の大統領選挙を控えて出てきた「崔順実(チェ・スンシル)事態」でトランプショックへの対策が立てられない状況だ。目の前にあった造船・海洋・鉄鋼など企業構造改革は労働改革法が失踪し、後回しにされている。企業も新年の新規事業計画を樹立するどころか、特検の捜査と国政調査への対応で非常状況だ。このままでは1997年や2008年のような経済危機を迎えるかもしれない。

与野党は経済問題に関しては政争を中断し、危機の予防に向けて超党派的に最善を尽くさなければいけない。まず、現在の韓国経済の問題を正確に認識し、正しい処方ができる専門性とビジョンを持って確実に政策を推進する経済副首相を選任し、経済政策全権を付与する必要がある。一時的に経済政策に対して免責権も付与し、経済官僚が経済活性化に取り組めるようにするべきだ。当面の企業構造改革は来年の大統領選挙政局の開始前に終え、失踪している構造改革・規制廃止も強力に推進しなければいけない。米国の利上げによる外資流出に備えた十分な外貨流動性確保と、米国の新政権の通商圧力と為替レート戦争への能動的な対処も急がれる。

オ・ジョングン建国大特任教授/韓国経済研究院招へい研究委員