【社説】賃金引き上げ率が8%台とは…経済危機再来の兆しだ=韓国

  • 2015年5月20日

昨年の賃金引き上げ率が平均8.2%で2013年(4.0%)の2倍以上であることが分かった。韓国経営者総協会(経総)が調査したものだが、問題はこの引上げ率が生産性の向上の結果ではないということだ。しかも、そうでなくてもウォン高によってグローバル市場で苦戦している状況での賃金の引き上げだ。

経総の最近6年間の賃金引き上げ実態調査を見れば、米国発の金融危機直後である2009年には賃金引き上げ率が1.4%に過ぎなかった。その後2010年の5.2%を皮切りに2011年(5.4%)、2012年(5.1%)まで3年続けて5%台の賃金引き上げが行われた。2013年には4.0%に下がりながら多少安定する様子を見せた。ところが昨年の賃金引き上げ率が突然垂直上昇することになってしまったのだ。

賃金引き上げ率がこれほど大幅になったのは、2013年に最高裁が一定要件を備えた賞与金を通常賃金と認定する判決を下すにつれ、相当数の企業が賞与金を通常賃金に算入したことに伴ったものだ。これらの企業の賃金引き上げ率は何と13.8%に達した。

問題は、通常賃金に関する訴訟が続いているだけに新たに賞与金を通常賃金として算入する企業が多く、今年は賃金引き上げ率が10%以上となる可能性が高いというところにある。特に通常賃金を基準として算定する休日手当・夜勤手当・超過勤務手当などが大きく増えるほかはなく、企業らの人件費負担はさらに加重されるものと思われる。ここで来年から従業員300人以上の大企業は60歳に定年を延長しなければならないが、労使の合意によって賃金ピーク制を導入できなければ人件費の増加負担をそっくり抱え込むことになる。

1997年の通貨危機を招いた決定的要因は10年余りも続いた賃金引き上げだった。1987~1997年の名目賃金増加率は13.9%で国民経済生産性増加率(13.3%)を上回った。1987~2014年で見ても賃金上昇率(8.6%)が生産性増加率(8.3%)より高い傾向が続いている。こうした状況が逆転するどころか8%台の賃金引き上げ率とは。経済危機の不吉な兆しと見られなくはない。これでも政府と政界は最低賃金引き上げの能書きをたれているのか。