韓経:【時論】現実の権力になった「トランピズム」保護主義に備えよう=韓国

  • 2016年11月10日

米国の第45代大統領はドナルド・トランプ氏に決定した。世界を驚かせた「トランプ症候群」がもう現実の権力になった。

トランプ氏は米国の対外政策に多大な影響を及ぼした人物として記憶されるとみられる。通商分野で米国の保護貿易主義基調を確立するのに決定的な役割をするだろう。無分別な自由貿易が経済危機を世界に広めるのに寄与したという認識も広まるだろう。トランプ氏は貿易の恩恵が大企業や高所得層に集中し、低所得の製造業従事者からはむしろ職場を奪ったと強調してきた。中国など不公正貿易国との貿易条件を変え、米国内の雇用を守るために貿易救済措置の積極的発動と為替操作国指定のような合法的な手段はもちろん、45%の関税を中国製品にかける形で従来の国際法秩序を越えるアプローチ方式を総動員するはずだ。

毎年200億ドル以上の対米貿易黒字を出している韓国は米国の保護主義の標的になるしかない。すでに米財務省が韓国に貿易黒字幅を減らすよう公開的に圧力を加えている。トランプ氏の全方向保護主義が韓国の対米貿易に及ぼす影響を最小化するしかない。製造業はすべての部門がターゲットになると予想され、商品輸出一辺倒の対米貿易パターンを変えて現地投資とサービス輸出産業を育成する必要がある。

サービス部門と電子商取引は米国がむしろ国際的に規制を減らそうという立場であるため、反ダンピングや相殺関税からも自由だ。しかし国内基礎サービス分野(教育、法律、医療)の国際競争力を画期的に増進するための措置は基本だ。電子商取引の活性化に向けて対米輸出産業のデジタル化作業を進めなければいけない。知識財産権も米国が国際的な保護を強化しようという立場であるため、知識財産権関連産業はむしろ好況を享受できる。

自由貿易協定(FTA)はトランプ保護主義の最初の犠牲になるだろう。環太平洋経済連携協定(TPP)はトランプ氏の執権期間は批准を推進しないはずであり、トランプ氏が再選に成功する場合は事実上の破棄手続きを踏むことになる運命だ。こうした事態を防ぐためには、オバマ大統領の残余任期の1カ月余りの間に急いで批准を終えなければならないが、今回の選挙で克明に表れた民心に逆らうのは容易でないだろう。TPP破棄は韓国のTPP加盟という難題を自然に解決するが、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、韓日中FTAなど世界的なメガFTA推進努力に冷や水を浴びせることになる。対外貿易依存度が高い韓国経済には長期的な打撃になるしかない。

韓米FTAも直接的な影響を受ける。関税撤廃対象から除外されたコメ品目に対して年間5万トン以上のクオータ(割当)を米国に付与するよう要求してくるだろう。韓米FTAの完全履行を名目に韓国の法律市場の開放レベルを高め、特許医薬品保護と電子商取引交易規制の撤廃の実質的な履行も要求するだろう。こうした要求は韓米防衛費分担比率の再調整のような非通商分野イシューと微妙な関数を形成し、全方向圧力の要素として作用することになる。

我々の対北朝鮮外交はもう一つの犠牲だ。北朝鮮の核問題に関連し、米国の対北朝鮮抑止力、対中国政策の一貫性が強調される時に、トランプ氏の当選で不確実性が大きく高まった。我々の安保費用が天文学的に増える可能性があるということだ。

政府はその間、自らの組織と機能も創造的に維持できない中、創造経済、文化隆盛政策を企業に叫んできた。最大の友好国であり超強大国から圧力を常時受ける時代がトランプ氏の登場と同時に予告されていたにもかかわらずだ。挙国内閣や新政府がするべき最初の課題は対外政策対応体制の全面的かつ創造的な改編だ。

チェ・ウォンモク梨花女子大法学専門大学院教授