韓経:【社説】トランプ氏の勝利がショック? 我々しだいだ=韓国

  • 2016年11月10日

すべての予想が覆された。米大統領選挙でドナルド・トランプ共和党候補の勝利を予想する人はほとんどいなかった。米国主流メディアはともにヒラリー・クリントン民主党候補に傾いた報道で一貫していた。前日までウォール街はクリントン氏の勝利にベッティングしていた。しかし「異端児」トランプ氏は逆転劇を見せた。選挙人団538人のうち過半を確保した。1年前に支持率1%でスタートし、共和党予備選でライバル16人を次々と退け、最後にはクリントン氏にまで勝利した。ブッシュ家、クリントン家など政治貴族を抑えたアウトサイダーの勝利だった。もう「トランプ時代」が開かれた。

トランプ氏の大反転に米国はもちろん世界が当惑している。アジア株式市場が焦土化した。その間、米国の親民主党主流メディアだけを見ていれば当然だろう。100大新聞のうち半分は公開的にクリントン氏支持を宣言したほどだ。しかしトランプ氏はいわゆる「東部メディア」が作った虚像を崩した。トランプ氏が話すようにメディアは事実(fact)よりも見たいものばかり報道した。トランプ氏に「狂人、暴言王、馬鹿」イメージをかぶせようとしただけで、米国の多数の白人中産・庶民層の情緒は読み取っていなかった。庶民層の怒りに呼応した「トランプ現象」をメディアは見ることができなかった。いや、敢えて見ようとしなかった。そのような偏った視点に一緒に踊ったのが韓国メディアだ。米国より韓国でより大きな「狂ったトランプ」を作った。ブレグジットに続いてまたも超大型誤報を流した格好だ。

第45代大統領のトランプ氏が率いる米国は大々的な変化を予告している。トランプ氏の選挙スローガンは「米国をまた偉大に」だ。韓米FTA再協議をはじめ、保護貿易を公言し、韓国、日本、ドイツなど同盟国には米軍駐留費用を請求するという。中国に関税報復、メキシコには巨大障壁で対応するとも述べた。全く違う米国だ。そのトランプ氏を「孤立主義」と規定するのは短見にすぎない。徹底的に米国の国益に基づいて行動する民族主義で見るべきだ。世界警察、基軸通貨国としての役割も、原油安とシェールオイル輸出を契機に大きな変化が伴う見込みだ。

我々に迫った課題は新しい米国の秩序にどう適応するかだ。韓国にはプラスとマイナスの両面性を持つ。機会でもある。もちろん保護貿易は輸出で生きる韓国には少なからず打撃になるだろう。しかしクリントン氏に比べてトランプ氏がより大きな脅威だと見なすことはできない。むしろ注目するべき点は、トランプ氏が中国に激しく対応する可能性があることだ。中国への依存度が高い韓国としては経済と政治の両面でジレンマになることが考えられる。その間、南シナ海に対する立場を明らかにしてほしいという米国の要求に今まで沈黙で一貫してきたのが韓国政府だ。崔順実(チェ・スンシル)事態の渦中に一部の左派陣営はTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備まで問題にする局面だ。

こうした状況でトランプ氏は「友か、敵か」と問う可能性が高い。外交的修辞なく直説話法になるはずだ。選挙の過程で見せたように、政治的な礼儀や紳士的な言葉はないだろう。我々としては伝統の同盟国であることを再確認しなければいけない。日本の安倍首相は14日に政策補佐官をトランプ氏側に急派するという。朴槿恵(パク・クネ)政権も右往左往している時ではない。米軍撤収や駐留費用増額問題は発表されたもの以上に懸念する事項ではないとみる。トランプ氏は戦略家であり事業家だ。北朝鮮の核問題を抱えている韓国としては何が国益になるかを判断して迅速かつ冷静に対処すればよい。

トランプ氏はこれまであまり見られなかったリーダーシップだ。米国メディアが作った虚像にとらわれ、いかなる準備もないため、我々にはショックとして迫る。今からでもすぐに正確な方向を定め、国益を貫徹しなければいけない時だ。野党も全面的に協力する責任がある。「トランプ米国」との関係は我々しだいだ。