韓経:【コラム】「FTA」でなく一方的自由貿易を!=韓国

  • 2016年10月28日

英国の欧州連合(EU)離脱を一部では自由貿易の後退と批判する。「自由貿易協定(FTA)」について米国共和党大統領候補のトランプ氏は反対の立場であり、民主党候補のクリントン氏は友好的な立場だと知られている。一部ではクリントン氏を自由貿易支持者、トランプ氏を保護貿易主義者と解釈する。しかしそのような解釈は全く正しくない。貿易協定を通じてのみ自由貿易を達成できるという考えから出てきたFTAで、政府は他国との協定を通じて輸入または保護するものを決める。EUをはじめとするすべてのFTAの背後には保護主義が隠れているのだ。

本当の自由貿易は「一方的」だ。関税、輸入クオータ、反ダンピング法、その他の貿易制限を一方的に撤廃すればよい。こうした障害物を除去するのに他国との協定は必要ない。トランプ氏がFTAに反対だけをすれば彼は自由主義者だ。しかしトランプ氏の代案は一方的自由貿易でなく、国家間協定がない「一方的保護貿易」だ。反自由主義的FTAは政治的に人気がある。韓国は「FTA強国コリア」というほどだ。

注目を引いているが、どうして協定を通じて自由貿易を達成しようとするのかの問題だ。国家間協定や超国家的調整がなければ、自国は関税障壁を築くのに没頭して他国の開放だけを待つため、健全な貿易秩序が生じないという論理だ。そのような論理には輸出は良く輸入は悪いという「重商主義」貿易観がある。しかしこれは間違った観点だ。貿易の究極的な目的は輸出ではなく安くて質が良い財貨を輸入するところにあるというのは経済原論の核心だ。

我々が望む輸入品に関税がなければ安くて質が良い財貨を利用できるため我々はそれだけ裕福になるが、他国が我々の質が良く安い輸出品を関税のために高く利用すれば、その国は貧しくなる。しかも自由な商品輸入は国内市場の競争を促進し、国内企業の革新の動機を強めるうえでも重要だ。革新は生産性向上、価格下落、雇用創出などにつながり、輸入国の経済は日増しに繁盛する。しかし貿易障壁を築く国は躍動的な競争の恩恵を享受できず貧しくなる。1960年代以降、輸入代替産業を育成した南米経済は没落し、一方的自由貿易を選んだ北米経済は成功した。国の経済と世界経済を同時に富強にするのが一方的自由貿易の妙味だ。

一方的自由貿易の恩恵のために多くの国が他国との交渉を通じて市場を開放したのでなく、一方的に扉を開いて自国の利益を図った。例えば英国、ドイツ、スウェーデン、オランダ、ニュージーランド、日本、シンガポールなどは一方的市場開放を通じてグローバル経済に統合された。中国の繁栄も貿易協定ではなく一方的開放の結果だ。世界銀行の資料を見ると、あらゆる形態の自由化を回避した開発途上国が誘致産業の保護を目的に導入した関税を1980年代以降削減し始めたが、その3分の2が一方的だった。1980年代から始まった韓国の市場開放も一方的だったことは周知の事実だ。

残念ながら間違った論理と歴史認識のためにFTAが風靡している。しかしFTAが一方的自由貿易より良い結果をもたらしたりはしない。これは規制の相互調整、知識財産権、労働条件標準、反独占規制法、環境規制など規制の塊りで構成された数百枚の協定内容が立証する。政治的なコネで暮らす情実主義が支配するのも政治と力の論理に没入した貿易協定ではなかったか。FTAで利益を得る階層は官僚・政治家・利益集団という批判を忘れてはいけない。

今日の世界経済不況と持続的な墜落も経済的自由と逆行するFTAのためだと見てもよい。FTAのピークは北米自由貿易協定と欧州連合の官僚による社会主義的干渉と計画だ。結論的に、我々が進む道は貿易秩序をかく乱する「FTA強国」ではなく一方的自由貿易となる。これが比較優位が持つ魔力の源泉であり繁栄のカギだ。

ミン・ギョングク江原大名誉教授・経済学