韓経:【取材手帳】現在も進行中の韓進海運事態

  • 2016年10月4日

米国の衣類会社J社は先月、信用状を開設したニューヨークの韓国系銀行支店に30万ドルの輸入代金を延期できるかどうか問い合わせた。韓国から輸入する服が積まれた韓進(ハンジン)海運の船がニューヨーク港に入港できず商品を受け取れない状況になると、資金のやり繰りに問題が発生したのだ。米国のW社と結んだ契約書上の納品期限が過ぎればクレームがくる。荷下ろしが遅れて年末の需要シーズンが過ぎれば、すべて繰り越し商品となり、半額で「バーゲン処理」しなければいけない。

化粧品会社G社も最近、韓国取引先に先月輸入することにした製品を飛行機に積んで送るよう要請した。J社と同じ理由だ。釜山(プサン)港を出た製品は2カ月過ぎても依然として公海上にある。高い運賃のため赤字を出すことになったが、さらに恐ろしいのは物を仕入れる米国デパートのクレームだ。G社の関係者は「韓進海運に訴訟を起こしてもお金を受けるのは難しそうだ」とし「韓国政府を相手に損害賠償を要求できるだろうか」と語った。

柳一鎬(ユ・イルホ)副首相兼企画財政部長官が今月中に韓進海運の船の荷役遅滞問題が90%解決するだろうと述べ、事態が一段落したように発表したが、現地の雰囲気は全く違う。コンテナ船1隻に少なくとも6000個のコンテナが積載されている。すべてが韓国からの輸出品というわけではないが、少なくとも数十にのぼる、韓国と取引する企業の「命綱」であるはずだ。

一瞬にして事業の基盤が揺れることになった同胞企業家の間では、韓国政府を恨む声が高まっている。この人たちはすべて対米輸出前線に立っている企業家だ。米国に基盤を置いているため、不満が韓国政府に向けた圧力にならないだけだ。この人たちの口からは「韓国政府が輸出不振打開策として『米国の消費財市場攻略を強化してほしい』と話していたが、我々だけが死ぬことになった」という声が出ている。

先月の対米輸出は6%、金額で3億3200万ドル(約340億円)減少した。公務員には報告書上の数字にすぎないかもしれないが、政府が目標にした空欄を埋めるのは現場の企業家だ。「我々の損失は誰が責任を取るのか」と尋ねる企業家らにとって韓進海運事態は依然として進行形だ。

イ・シムギ米国特派員